大人の恋心 16
16.
" Healing 癒し系 "
職場の人間・たまに会う学生時代の友人・・よく耳にする
言葉があった。
今回の新垣桂子という人物との紹介見合いの話が持ち上がるまで
そのよく耳にしていた(はずの)台詞のことは、すっかり忘れ切って
いたのだが、年上の女性との交際を考えるにあたって
その記憶が蘇ってきた。
『やっぱり、女は1つでも若いのに限る』
多少の言い方は違えども、まぁ意味合いとしてはそういうことなのだ。
大抵の男たちがそう思っているということは、あながち間違いでは
ないのだろう。
だが、男が皆そうなのか? というと、そうじゃない人間もいる、と
いうのも確かなのだ。
俺はたまたまこれまで年上の女の人と付き合うことがなかったが
それは縁が無かっただけで、敢えて避けてきたわけではない。
これまでずっと、彼女という存在には恵まれてきたが、結婚を
決められるほどの相手には出会えていない。
ここ3年ほど彼女いない歴が続いているものの、この年になって
なんかもう、女性に対してあまり期待してない自分がいた。
だからこそ逆に今回の話にもほとんど抵抗無く、受け入れられたのかも
しれない。
しかし、あれだ。
なんの期待もせずに見合いに臨んだ失礼極まりない自分を待ち受けて
いた新垣桂子という人は、今まで出会ったことのない、ほっとさせられる
癒し系のオーラを放っている女性だった。