2・メモリーバックアップ
大学へ着いたがすごい人の数に少し戸惑う雄輝
そのとき、一人の白い服を着た男性が近づいてきた。
「君が南波 雄輝だね?」
すごく真剣な顔をした教授?
雄輝「はい。何故名前を知っているのでしょうか?」
優芽委「やはり・・・自己紹介からさせてもらうよ。私は優芽委 仁と 言います。
君はやっぱり何も覚えていないようだね。」
何も思い出せないが。今朝見ていたような夢の違和感そして、その気持ち悪さからくる違和感
がこみあげて質問をする。
雄輝「実は夢を見ていたような気はしています。長い、、とてつもなく長い間。なにか心当たりがあるのでしょうか?」
優芽委「ついてきていただけますか?」
そういうと優芽委はそれ以上何も言うこともなく、ただただ大学の中のほうへ案内した
雄輝はなぜか少し心につっかえていたものが取れたような気がした。
これでこの気持ち悪さもなくなるのだろうと。
そしてたどり着いた場所は大学の奥にある研究室だった。
雄輝「ここは大学の研究室ですか?えらく立派ですね?僕も将来は研究などをしたかったので!」
雄輝の心の中高揚感でいっぱいだった。
優芽委「この先に案内する場所があるが、ここなら誰もくることがないし、ここで少し話そうか。」
雄輝「はい!さっきの話の続きですね!それが本当に不思議で少し話を聞けることになって・・・」
言葉の途中に大きな声が割り込む。
優芽委「君の脳は・・・欠損している。」
雄輝「え・・・・」
唖然、何を言っているのかさえ意味がわからない。当たり前だそんなことをいきなり言われて
ストレートに受け入れる人間なんていうのはこの世に存在しないからだ。
優芽委「今から私が連れていく場所は、大学の誰も知らない。そして、君の親だけは全てを知っていたが君に今日ここに来ることを強要するよう頼んでおいた。予めこうなるように。」
そこから長々と2時間、いや3時間前後、もっと長いような気がした。すごく信じられない説明が続いた。
雄輝「僕はもう 人ではない? ははは・・・」
何も考えられなくなった。そんなことがあるわけなかった。そして何もかもが分からなくなった。
だって僕は人であり、人の体であり、何一つ思い出せない、だってただ寝てただけなのだから。
そんな同様した僕に優芽委はまたゆっくりと喋りだす。
優芽委「そう。だが 今は人じゃないというのが正しいのかもしれないね。その真実と向き合う為、
今から君を案内する場所で、君に直接全ての君のメモリーバックアップをしたいと思う。」
雄輝「メモリーバックアップ・・・?」
メモリーバックアップとは通常 記憶を蘇らせる。主に機械などに使う言葉だということは
わかったが、それを人にできることがあるのかさえ雄輝はわからなかった。
優芽委「そう、それさえすれば君は何故今の君なのか分かるはずだから。ただ少し、君はまた今朝起きた時のような長い長い夢を見ることになる。ただ次起きた時は全て覚えている状態で目覚めることになる。この世界では一瞬だが、バックアップの世界はすごく長い。」
今朝の夢から覚めた時の気持ち悪さと優芽委が言っている言葉は信憑性があった。
その言葉と僕が目覚めた時の感情が十分に一致していたからだ。
雄輝「受け入れます。それを受ければ全てを思い出し、そして今疑問に思っていること、気持ち悪さの原因、何もかもが全て解消されるのだと思います。しかし・・・・一つだけ質問させてください。」
聞くのが怖い、知るのが怖い、その気持ちからその先の言葉を発するまでどれだけの時間がかかったかわからないくらいだ。
優芽委「どうしたんだね?言ってみたまえ。」
雄輝「なぜ僕は 人ではないのですか?」
優芽委「君はもう100回死んでいる。」
続