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異世界に来たからとりあえず全裸になってみた

目を開けると一面に広がる草原でした。


わたくし、松原大河はごく普通の健全な男子高校生です。


この日も男子高校生であれば日常の業務である、更衣室における同級生の成長記録に勤しんでいたはずなのですが…気がつけばこのような場所に佇んでいました。

うーん空気が美味しゅうございます。

深呼吸を一度して。改めて周りを見渡すも、一面の緑。

人工物が一つもない大自然が眼前に広がるのみです。


1カメ、2カメ、3カメ


「あれ?これ詰んでない?」

段々と頭から血の気が引き、冷静になっていくのがわかる。そして改めて気がつく。この状況が限りなく詰みであることに。


『おちつけ、おちつけ、おちつけ。こういう時は深呼吸と、リラックスできる環境を整えることが大切だ』

自分でもわかる、焦っているからこその満面の笑顔。そして吹き出す汗。

ゆっくりと息を吐き。リラックスできる環境を整えるため服を全て脱ぎ捨てる。


『ビークールやはり、人間生まれた時の格好が一番だな』

雄大な大地を駆け抜ける、一陣の風が優しく俺の息子を撫でながら去っていく。

まるで世界に包まれるような温もりを肌に感じながら、俺はそっと体を横にする。

全裸で草むらに寝転がると意外にチクチクする。


『あぁ大地に抱かれている。これはもはや童貞を卒業したもの同然なのではないだろうか』

チェリーを卒業する寂しさはこのことなのか…謎の万能感に包まれる。

先ほどまでの不安など些細なことのように感じる。


あぁ世界に比べたら俺の悩みなんて小さいことだったんだな。まったく人間とはなんて矮小な生物なんだろうか。


人類に対する憤りを覚えながら、ふと視線を横にやると、草原にはにつかわないA4サイズ程度の一枚の紙が落ちていることに気がつく。

風が吹いているのに微動だにしない紙。A4の紙。その悠然たる姿は草原で寝転がる全裸と見事なコントラストを描く。

高尚なことを並べ連ねても気になるものは気になるので、手を伸ばして紙を拾ってみる。

すると白紙だった紙にゆっくりと文字が浮かび上がる。気持ちわる!

思わず投げ捨てようとするが、何故か紙は手から離れない。あれ、なんかよく見るとこの紙俺の手に絡まってない?キモいキモいキモい。

一人焦る俺を尻目にA4紙さんはどんどんと文字を浮かび上がらせていく。


『こんにちわ!私はこの世界の女神です!

 この度はこの世界を救っていただくべく、あなたを呼び出しました!

 本来あなたは女子更衣室をのぞいている最中に足を滑らせて落下。打ち所が悪く亡くなる予定でしたが、あなたにはこの世界を救う力があると思い召喚させていただきました!

 残念ながら私には力がなく言語で困ることがない能力しかお渡しできませんでしたが、あなたならきっとこの世界を救うことができると思いますので、ぜひ頑張ってください!』


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