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ウソの告白

エイプリルフールということでウソを題材にした短編です。

 僕は迷っていた。

 いや、迷っている、か。

 正しい選択をすれば何事も無く生き残ることが出来る、間違った選択をした場合は死ぬ・・・訳じゃないけど、僕たちの年代にとってはビルから飛び降りるのと同じくらいことにはなるかもしれない。

 今、僕の手元にはトランプのカードが一枚だけ。ハートのマークとJの文字、よくわからないおっさんが二人、鏡写しみたいに点対称に描かれている。

 

 「むむむ、右・・・いやいや、こっちかな・・・うーん・・・むぅ」


 何をしているのかって?

 今、僕たちはお昼の時間、次の授業までの暇を潰すべくババ抜きでの真剣勝負の真っ最中、しかも最下位を決めるドべ争い。

 ババ抜きごときで何を大げさなと言いたいんでしょ?

 まあまあ、待っておくれよ、確かにババ抜きなんて遊びの一つさ、勝った負けたで大騒ぎするのも遊びの内だろうさ、ただのババ抜きならね。

 いやまあ、やっていることはただのババ抜きなんだけど、賭けてるものがあるんだよ。お金は賭けてませんよ?真っ当な学生だもの、僕たち。

 賭けてるのは罰ゲーム、最下位になったら罰としてある事をする、ありがちだよね。


 「よし決めた、こっちだあ!」


 向かって右側、対戦相手から見れば左側。彼が持つ二枚のカード、不平衡に凸凹している内の飛び出ている方。

 普通なら取らせたいカード、イコールでババと判断するとこだけど、ここは裏をかいて違うと見た。

 勢いよく引き抜いて頭上高くに掲げられたそれを、勝利を宣言すべく裏返す。

 新たに手元の迎え入れたJのカード、これでペアが揃った筈だ。

 ・・・おやおやおや?このJのカード僕が持ってたJのカードと絵柄が違うし、マークも付いてないよ?Jの下にもアルファベットが続いているし、誤植かな?


 「ぐぬぬぬ・・・・」


 「あっはっは、こんな見え見えな手に引っかかるとか、どんだけだよ」


 うるさいな、絶賛最下位争い中の君にだけは言われたくないよ!

 落ち着けー、僕。まだ負けたわけじゃない、ここを凌げばまた僕のターンだ。

 相手に見えないようにシャッフルシャッフル、しっかり混ぜて、ハイ、どうぞ。


 「どーちーらーにー、しーよーおーかーなー」


 対戦相手は定番のフレーズを口ずさみながらこちらの顔色を窺うようにして指先を彷徨わせてくるけれど、そんな使い古された手口、ポーカーフェイス岡島ことこの僕、岡島久太おかじまきゅうたには通じません。


 「こっちかなぁ」


 ピクリ


 「それともこっちかな?」


 ・・・


 「やっぱりこっちかな」


 ピクピク


 「・・・」


 「・・・」


 無言で引き抜かれるジャック様。待ってぇ、待ってぇ、行かないでぇ。


 「ぷぷ、お前顔に出すぎ、賭け事やらん方がいいわ」


 一抜け様が笑っておられる。周りの上位抜けしたババ抜きエリート様たちやギャラリーまで笑ったり頷いたりしてる。

 いいじゃないの、ババ抜き弱くたって、正直者は美徳なんだよ。


 「じゃあ、はい、罰ゲームな」


 「待ってよ、やっぱりこの罰ゲームやめにしない?他のにしようよ、相手にも失礼だし」


「往生際悪いな、お前だってノリノリで勝負始めただろうが、負けたからって今更やめるとか言ってんなよ。」


 「おやおや、久太君はビビってるんですかー?」

 

 「罰ゲームは絶対実行ね。最下位である久太には告白を慣行してもらいまーす、相手はサメ子ね」


 何で、こんな勝負のっちゃったかな。いや、負けるなんて思わなかったしー、勝ってコイツ等みたいに対岸の火事を高みの見物する予定だったんだ。

 でもでも、みんなだってもし最下位になったら絶対、抵抗するよね。罰ゲームで好きでも何でも無い子に告白なんて。いやさ、好きな子に罰ゲームで告白して振られでもして、罰ゲームのことがバレればもっとダメージでかいってか在学中は死んだも同然だけど。

 どちらにしても相手に失礼なのは変わりないし、なんでこんな罰ゲーム設定にノリノリになっちゃったんだろうねー?ちょっと前の僕?

 それにしても、告白相手は一位指名とは言え、よりにもよってサメ子かー。絶対に成功しそうにないとこチョイスしてきたなー。

 サメ子ってのは男子の間で勝手に呼び交わしてるあだ名で本人に対してその名で呼ぶ男子はいない。だって怖いし。

 怖いって言っても、喧嘩が強いとか顔が怖いとかそういうことじゃない。なんていうか、・・・得体が知れない、みたいな感じ?

 入学してからもう半年以上経つっていうのにクラスの男子と話したことがない。それどころか女子と話しているところすら目撃したことがない。

 もちろん、日直になった時とか話しかけることはあるんだけど、大抵、「そう」とか「わかった」とか一言で会話が終わっちゃう。二言以上会話が続いたクラスメイトは居ないんじゃないかともっぱらのウワサです。

 とにかく、居るかいないか分からないくらい静かな女子で眼鏡かけてるから「サイレントメガネ」略して「サメ」、女子だから「子」を付けて「サメ子」。

 名前も最上恵で、ホントの読みは「もがみ けい」なんだけど、最初、僕は「さいじょう めぐみ」だって思ってた。他にもそう思ってたヤツは結構いたみたいで、やっぱり「サメ子」で定着しちゃった。

 


 という訳で、サメ子に告白させられることになっちゃった訳ですが。これって絶対に玉砕しますよね。

 誰とも仲良くなってるようには見えない相手にいきなり告白って、ステップ何段飛ばしてるんだって話だよ。

 これで相手がクラスのアイドル、北条さんだったら、ってそれこそ絶対に成功しないしフラれたときのダメージがデカ過ぎる。罰ゲームだなんてバレた時は目も当てられない。

 とにかく、サメ子に告白することは決まったので、次はどうやって告白するかだけど。

 コイツ等ノリノリでそれも決めてくださりやがりました。

 手紙で呼び出してお願いします。王道ですね、古典です。したこと無いので分かんないけど。

 早速、手紙を書いてサメ子の机に忍ばせます。幸い、彼女はいつもお昼を食べると一人でふらりとどこかに行っちゃうから今教室には居ないから。

 参加者の一人がラブレターに使えそうな便せんとか封筒とか分けてくれたけど、なんでコイツはそんなものを常備してるの?正直キモいよ?

 手紙の中身は簡潔に、時刻は放課後、場所は屋上、定番ですよね。

 書き終わって、たたんで封筒に入れて、シールを張って、机に居れたらもう後戻りはできません。

 

 

 時は移って放課後です。午後の授業はなんだかソワソワしちゃって身が入らなかった。

 僕はすでに屋上でスタンバイ。この学校は屋上は休み時間と放課後は解放されてる。背より高いフェンスが張ってあるけど、丘の上に建っていることと周囲に高い建物がないおかげでなかなか景観がいい。

 さてさて、サメ子はホントに来るんだろうか。宛名も差出人も書かなかったから、もしかしたらイタズラと判断して来ないかもしれない。

 でも、来ないのが一番ダメージ少ないのか、出来れば来ないで下さい、お願いします。

 そんな願いもむなしく扉の開く音が。建付け悪いのか結構大きな音がするんだよね、あの扉。

 いや、まだまだ来たのがサメ子と決まった訳じゃない、解放された場なんだから誰が来たっておかしくない。・・・ほとんど誰も来ないからこの場が選ばれたんだけどね。

 現実逃避ぎみに眺めていた眼下の風景から入口の方へ目をやれば、姿を現したのはやっぱりサメ子だ。あんな手紙でも来てくれちゃうのね。

 他に誰かが居るでもなし、自然と僕が手紙の差出人だと理解したんだろう。迷いのない歩調でこちらへと、二歩か三歩ぐらいの間を空けて停止、こちらを凝視。

 この間、無言。表情もピクリともしてない。視線も僕に固定されてて揺るぎもしない。

 き、気まずいよう。何!?この緊張感は。屋外だってのに空気さんたら張り詰めすぎてませんか!?

 これはもう、さっさと済ませてしまわねば。

 告って、フラれて、報告して。みんなの笑いものになって終わらせて。後々、バカなことしたよねーって笑い話にしちゃおうよ。


 「最上さん、貴女のことが好きです、付き合ってください」


 下げる頭は九十度。だって、今、顔見たくないもの。

 言葉は結局ド直球にしてみた。みんなからはかっこいい文句を考えろとか言われたけど、そんなの数時間じゃ無理無理、相手の事だって殆ど何も知らないんだから、理由だって言えるわけない。そもそもウソなんだし。

 ああ、この返事を待つ瞬間がつらい。怒られるかな?笑われるかな?引いて泣かれたりしたらやだな。

 もう、冗談だったバラしちゃって怒られて罵倒された方が楽かもしんない。幻滅されるだろうけど自業自得だし?

 よ、よし!


 「な、なあ──「うん、いいよ」──ん、だってぇえー!!?」

 

 ええ!?今この人なんて言ったの!?


 「何?」


 「えっと、今、何て?」


 「だから、いいよって」


 え?あの、いいよって、あのいいよだよね?承諾、OK、了承とかともかくそういうことだよね?え?どういうこと?僕が告白して、好きです付き合ってくださいって言って、いいよって返事されて?これって、告白成功ってことなの?僕に彼女が出来ました?


 「どうしたの?」


 「あ、あの、まさかOKしてもらえると思ってなくて」


 「断るって思ってたの?」


 「だって、碌に話したことも無かったのに」


 「ふーん?」


 不思議そうな声音だけど、心の内がどうなのか全然わかんない。だって、この人、今の今まで表情動いてないんだもん。物静かな子だと思ってたけど、ここまでクールな人だったとは想像してなかったよ。

 って、何気に今、僕、彼女との会話最長記録を絶賛更新中だ!って、今考えることじゃないよね。


 「アドレス」


 「え?」


 「連絡用のアドレス」


 「あ!ちょっと待って」


 わたわたとスマホを取り出してアドレスを交換。意外、サメ子──最上さんってSNSやってるんだ。ていうかスマホ持ってるのも意外、と言ったらさすがに失礼すぎるかな。


 「最上さんもこのアプリ使ってるんだ、正直、意外かも」


 「家族の連絡用よ」


 「それもそっか」


 そうだよね、チャットとか便利だし、通話無料だし。スタンプも面白いのから可愛いのから意味わかんないものまで豊富だし?


 「用件はそれだけ?」


 「え?あ、うん」


 「そ、じゃ、またね」


 そう言って屋上から出ていく最上さんを見送って、無意識に振ってた手を下ろして数分間。数分間?うん、多分数分くらい。

 呆然と突っ立ってることしか出来ない僕。うん、頭、真っ白だわ。

 まさか、事務連絡以外で会話したこともない女の子に告白して、承諾を貰えるなんて。

 え?あれ?今の現実の出来事?僕の妄想じゃなくて?

 だって、あの人最後まで表情ピクリともしなかったよ?普通、そういうときってもっと照れたりはにかんだりするもんじゃないの?最後まで淡々としてましたよ?彼女。

 


 帰宅して、漫画を読んで、ご飯に呼ばれて、少しだけ勉強して、頭に入んなくて、お風呂に入って、布団に入る。

 


 今日一日のことを考える。

 お昼休みにババ抜きやって、最下位になって罰ゲームを押し付けられて。

 手紙を書いて、放課後に好きでもない子に告白をして。

 いいよって言ってくれて、付き合うことになりました?

 なんだ、これ。

 お付き合い、恋人、彼氏と彼女。

 うわ、すっごくうれしいかも。

 誰でもってわけじゃあないけれど、それでも彼女は欲しいなって思ってて、イタズラで告白したらまさかの大成功。なんか、宝くじに当たったみたいだ。

 ふふふ、これで僕も彼女もちかあ、みんなに自慢・・・はやめとこう。大騒ぎされそうだし、恥ずかしいや。

 んー?初日だし、彼氏としては何か電話なりメッセージなりした方がいいのかな?今まで彼女なんてできたこと無かったし、こういう場合どうすればいいのか分かんないよ。

 やばい、やばいよ、浮かれちゃってるよね今の僕って、でも仕方ないよね。生まれて初めての彼女なんだし、仕方ない。

 ・・・でも、これってホントにいいのかな?ウソや冗談で、罰ゲームなんかで告白して、思いがけずに色よい返事を返されて、それでわーい、やったぁ彼女が出来たぁ!なんて舞い上がっちゃって。最上さんに対してとっても失礼なことしちゃってるよね。

 やっぱり、謝った方がいいのかな、でも、今更、冗談でしたごめんなさいなんて、そんなの単なる自己満足じゃない?最上さんだって傷つくかもしれないじゃん。

 要はバレなきゃ問題無いんだ。そうだよ、バレさえしなけりゃ最初はウソでもホントのことにしちゃえば誰も傷つかない、みんな幸せな結末にだってできるハズだよ。

 でもでも、後々になって気付かれたら?時間が経てば経つほど問題は根深くなるよ?傷の浅い今のうちにさっさと謝ってすっきりさせちゃったらいいのかな。でも、そしたら絶対フラれるよね、せっかく出来た彼女にすぐにフラれるなんて、そんなの嫌だ。それでも、全部、僕のせいで、謝るのもフラれるのもけじめなんだから。

 ああ、なんで僕は罰ゲームなんかで告白なんてしちゃったんだろう。どうせだったら真面目に真剣に・・・って、そんなの結末が分かってるから言えることか。好きでもない子、よく知りもしない子に結末も分からないままに告白なんてする訳がない、出来る訳がないもん。それだとずーっと彼女が出来ないままに・・・。

 ああ、もう、僕はどうしたらいいんだろう!



 告白から数日経って、夜お風呂に入る前の時間、三十分ほど授業の復習をしてたけど、全然頭に入んない。ずーっと最上さんのこと考えてる。

 結局のところ、あれがら最上さんには謝れていない。切っ掛けがつかめないというか、踏ん切りがつかないというか、結局謝ったところで自己満足だとか最上さんを傷つけるだけだとか言い訳が浮かんでくるばかりで行動に移せない。

 彼氏彼女になった最上さんとの関係はどうかというと──。

 全っ然、まったく、これっぽっちも変わってない。おはようからおやすみまで、学校中も放課後も、家に帰ってからも、朝から晩まで、会話ゼロ、接触ゼロ、ついでにスマホの履歴もゼロ。

 彼氏と彼女ってなんだっけ?なんだか告白する前の、ただのクラスメートの時とおんなじ過ぎるよ。

 あれ?もしかしてバレてる?あの、「いいよ」ってのも難解すぎる仕返しみたいなものだったとか?いやいや、さすがに考えすぎ?

 あまりにもビフォーアフターで変化の無い彼女だけど、僕の方はちょっとだけ変化があって、最上さんのことをよく見るようになった。

 授業中とかもチラリと彼女の方を盗み見たり、休み時間にふらりと居なくなるのを追跡してみたり。あれ?これって彼氏と言うより・・・ストーカー?

 その結果!いくつか最上さんのことで分かったことがあります。ていってもこっそり見てただけなので表面的なことばかりだけど。

 まず第一に、最上さんは可愛いです。おい、最初がそれかよ!とか今更かよ!とか言いたいのはわかるけど、それくらい僕にとって今まで彼女の存在は薄かったってこと。

 ちょっと大きめな目とかすっきりとした鼻筋とか小さめな口元とか、一つ一つのパーツに不細工なものなんて無くて、それらがきっちりまとまっていて。肩までくらいの髪はふわふわでとっても柔らかそうで、触ったらとっても気持ちよさそう。

 僕の中のランキングで現在、北条さんを抜いてトップに躍り出ています。

 あ、でも表情は無い。学校に居る間、怒ってる姿や泣いてる姿はもちろんのこと、笑ってることすら見たこと無い。相変わらずクラスの誰かと交流してる様子もない。

 次、第二に、最上さんはとっても真面目です。授業中は基本的によそ見しない、しっかり先生の言うことを聞いてノートを取っている。姿勢も良くて、授業中はおろか休み時間中もダレてるところを見せたことがない。

 第三に、最上さんは読書家です。休み時間にふらりと居なくなって何してるのかと思えば、大体は図書室か中庭に行って本を読んでいるみたい。まあこれについては、教室でも本を読んでいるところは今まででも目撃されてたし、再確認というか確証を得た、みたいな感じかな。どういう本を読んでいるのか少し気になったけど、大体カバーが付いてて題名とかはさっぱりでした。

 そんなこんなで僕の中の好感度がうなぎ登りな最上さんの彼氏になれた(多分、きっと、確証も実感も無いけど)ことで、気分は天にも昇らんとする勢いだ。

 だけど、ホントの事を話さなきゃって思うと、地面にめり込みそうになってしまう。だって、もう僕は、彼氏どころかクラスメートとしてすら交流を持てていないけれど、それでも最上さんに嫌われたくないって思っちゃってるから。

 


 勉強の時間の筈が最上さんのことばっかり悶々と考えてたらスマホの通知光がピコピコしてた。勉強中はマナーモードにしてるから音がしなくて気付かなったんだね。

 手に取って確認するとメールの着信みたいだって、え!?最上さんからだ!

 震えそうな手でメールを開くと件名が『今度の日曜日』で本題が『予定が空いてたら、遊びに行きませんか』って、これってもしかして・・・で、デートのお誘いというやつじゃ?

 お、おおお・・・まさか、最上さんからデートのお誘いが来るなんて・・・。

 夢とか妄想とかじゃなくて、僕たち本当に付き合ってるんだあ。

 ごめんなさい、最上さん。こういうことは彼氏である僕の方からお誘いするべきだったのに、不甲斐なくてすみません。

 あ、早く返事しなきゃ、もちろん予定なんて無いし、あったとしても無理やりにでも空けてみせる。どうせ予定なんて友達と遊びに行ったり、遊びに来たりとそんなもんだ。ドタキャンしたって問題ない。

 て、もう返信きた。文字打つの早い?返信メールには待ち合わせの時間と場所、行先は隣町の新しく改装したばかりの水族館でいいかとのこと。

 もちろん、全部、問題無いことをしたためて返信、と。

 あああ、日曜日が楽しみだあ。今日が金曜日だから明後日かあ、うわあ、早く時間が過ぎないかな。

 ああ、明日の土曜日は何で休みなんだ。学校があればよかったのに、今なら学校でも最上さんに話しかけられそうな気がするのに。

 そうだ!こうしちゃいられない、早速水族館のリサーチをしなくっちゃ。

 えっと、今年の夏休みにリニューアルオープンしたばっかのほやほやで古臭い水槽の展示を一新してオサレな感じになってる。

 夏休みは改装直後ということもあって沢山の客でゆっくり見れなかったみたいだけど、休みが終わって客足も少し落ち着いて今が狙い目らしい。

 改装後の目玉は新しくなったイルカのショーとペンギンの行列、深海魚コーナーか。最上さんみたいな子でもやっぱり女の子ってイルカとかペンギンとか好きなのかな?

 


 待ち合わせの三十分前、水族館までは隣町まで電車に乗ってそこからバスで、ということで待ち合わせ場所は駅前広場。

 ちょっと早めに着いちゃったかなと思いつつ周りに目をやれば見覚えのある姿が。

 最近、よく観察するようになったから見間違いはしないけれど、普段の見慣れた制服姿とは違う私服姿はやっぱり印象が違ってて。

 膝丈の清楚なワンピースとカーディガン?ボレロ?の組み合わせが少し大人っぽくて、どこかのお嬢様みたいだ。


 「ご、ごめん最上さん、もしかして待たせちゃった?」


 「ん、いいよ」


 え?その「いいよ」はどういう意味?「今来たところだから、いいよ」なのか「私が早く着きすぎただけだから、いいよ」なのか「待たせすぎだけど、もういいよ」なのか。どれなの最上さん、はっきり言って!


 「行こ」


 結局はっきり理由を言ってくれる訳も無く、僕の手を引いてさっさと歩きだしちゃうし・・・って、もしかしなくても今、僕たち手を繋いでる!?あ、あ、汗とか大丈夫かな、もうすぐ秋も終わるっていうのにまだまだ今日は暖かいし、さっきまで動いてたから手汗とかかいてるかも。

 まあ、直ぐに改札で切符を買うために離されてしまいましたけどね、くすん。

 電車に揺られること二十分くらいとバスが五分くらいで水族館に着きました。その間、例によって会話はほとんどありません。

 いやいや、僕はがんばったよ?無言に耐えられなくていろいろ話題を振ってみたけど、会話という名のキャッチボール、僕が投げた話題ボールは返ってくることはありませんでした。いや、返っては来てたんだけど最上さんからは「うん」とか「そう」とか相槌ばっかで話題が続かないんだもん。


 

 入場してすぐ、時間が丁度いいということで早速、イルカのショーとペンギンの行列を観に行くことに。

 いきなり本日のメインイベントから入って大丈夫?

 結構前の方の席だけど水飛沫は届かない、そんな絶妙な好ポジションを確保できたイルカのショーはジャンプが大迫力でMCのお姉さんとの掛け合いがコミカルだったりで、もう中学生になったんだしイルカのショーくらいじゃはしゃがないよ、とか思ってたのを裏切られた。

 最前列の人とか結構、水飛沫食らってたみたいだけど着替えとか大丈夫なのかな。夏に比べるとこの時期のショーはまだまだ飛沫は抑えめらしい。あれで抑えめとか夏のショーはどれだけなんだか。

 ペンギンの行列はなんだろう、ほんわかした。ヨチヨチ歩くペンギンの大群とか、観客の構えたスマホから反射する光に反応する様子とか見てるととってもホッコリする。

 ただ、あれってお触りはできないんだね。張られたロープから前には出ないでください、ペンギンが近づいて行っても触らないでくださいって、最初に注意されたんだけど。ペンギンの手触りってどんななんだろう?

 羽毛みたいにふわふわなのかな、それともすべすべツルツルなのかな。一度、触ってみたいけどお触りできるところってあるのかな、今度調べてみようか。

 さて、肝心要の最上さんだけど、案の定、無表情でした。ショーの間も、行進の間もピクリともしない。

 これって、楽しんでるの?そうでもないの?反応が分からないよ最上さん。これらが見たかったわけじゃないのかな?

 気を取り直して水槽の展示コーナーへ、魚だけじゃなくて大きなカニとか伊勢エビみたいなエビとかもいるけど、これらの感想って可愛い、より美味しそう、だよね。あと、マグロとかも。

 トンネルみたいになってる大水槽は壁や天井だけでなく、床まで水槽になっていて色とりどりの種類の魚が泳いでて、まるでホントに海の中を歩いているようで、こういうところを恋人同士で並んで歩くとかなかなかロマンチックじゃない?

 出来れば手を繋いで歩きたいんだけど、こちらから手を繋ごうとするのはなんだか気後れしちゃって、手を出そうとしたり引っ込めたりで、かなり挙動不審な感じ。傍から見たらそれすらも初々しくて微笑ましいのかもしれないけどね。


 僕がまごまごしている内にトンネルは終点を迎えてお次は新設された深海魚コーナーだそうで、展示室の中は深海の雰囲気に合わせたのか薄暗くて、ブルーライトが順路を淡くてらしている。

 深海の生物って、普段泳いでいる姿を目にすることなんて無いんだけど、何?コイツ等、ホントに地球の生物なの?宇宙から飛来した生物だって説明されてもみんな信じると思うよこれ。


 「はわぁ」


 深淵から来たりて這い寄るような異形のソレとにらめっこしてると、お隣から聞き慣れぬ声が。

 いや、今日一日でも何度も耳にしてるんだけど、声の調子が全然違うんだよ。

 え?誰?いつの間にか、別の人と入れ替わっちゃったとか?

 薄暗いとはいえ、隣の人の顔まで全く見えないなんてことはなくて、バッチリとはいかないまでも表情を確認する程度ならわけもなくて、何が言いたいかっていうと、この人、誰ですか?

 

 「可愛い」


 うっとりと言う表現がぴったりな声音で水槽に熱視線を送る推定最上さん。

 水槽下のプレートを見るとメンダコというタコらしい。コイツも他の同類と同じく理解不能な形態をしてるんだけど、コレ、可愛いの?なんだかゲームのモンスターとして出てきそうだよ?

 ああ、いや、そんなことよりも。無表情がデフォで、今まで一つの表情しか見たこと無くて、表情筋が死滅してるんじゃないの?とか思ってた最上さんが、実はアンドロイドで感情プログラムとかインストールされてないんだぜとか一部の男子に言われてるあの最上さんの表情筋が、ゆるっゆるになってるんですけど。


 「あの、最上さん?最上さんだよね?」


 「んー?」


 会話のキャッチボールはしてくれないけれど、話しかければこちらを向いてくれて、一応の返事は返してくれる。そんな律儀な人だってことは行きの電車とバスの中で分かったことだけど。

 今の最上さんは生返事を返すだけで、視線は水槽に固定されたまま。その表情は家の姉ちゃんやその友達が子犬や子猫を見てるときの表情にそっくり。

 最上さんのお目当てってコイツ等なの!?コイツ等そんなデレデレするほど可愛いですか!?ていうか、僕にもデレデレしてくれませんか!?

 うわあ、意外な一面、っていうか謎が増えるわ。

 でも、うん。最上さんでもこういう表情ってするんだあ。きっと、クラスどころか学校中でも僕だけしか見たことないかも。



 あれから無表情以外の表情で固定されたまま一つ一つの水槽にたっぷり時間を掛けて、結局、深海魚コーナーを抜けるのに要した時間は、他のコーナーを見て回るのを合わせた時間よりも長くかかっちゃった。

 深海魚コーナーを抜けたとたんいつもどおりに復帰した最上さんと並んでお土産コーナーへ。

 魚やらをデフォルメしたぬいぐるみやキーフォルダー、雑貨なんかと海の生き物がプリントされた包装紙に包まれたお菓子とか。えびせんとかたこせんべいとかって、もしかしてアイツ等じゃないよね?

 それはそうと最上さんや、さっきから微動だにしていませんね?表情こそそのままだけど、眼力が凄いことになってますよ?穴が開くんじゃないかってくらい、そのうち火が出るかも。

 火が出そうな熱視線の先はやはりというか、なんというか。先ほど、僕に衝撃をプレゼントしてくれたメンダコ様がデフォルメされたぬいぐるみ、しかもでっかい。最上さんが抱えようとしても手が回らないくらい。

 え、それ買うの?持って帰るの?抱えてバスや電車に乗っていくの?

 どれどれ、値段の方は?・・・高!?でかいぬいぐるみってこんなにするの!?さすがに中学生のお小遣いじゃ、この値段は無理じゃない?こっちの小さいのは?あ、これなら無理なく買えるかも。

 うーん、プレゼントとかしてみた方が?でも、何て言って?それに、こんなちっこいので喜んでくれるかな?・・・うーむ、よし!


 「最上さん、最上さん」


 「何?」


 「これ、プレゼントしたら受け取ってくれる?」


 「・・・何で?」


 え、理由?理由、理由・・・。


 「えっと、水族館とか一人じゃまず来なくて、イルカショーとか子供っぽいって馬鹿にしてるとこもあって、でも実際は結構面白くて。あと、深海魚とかも色々、新鮮というか衝撃でさ。結局、今日一日楽しくて誘ってくれたお礼みたいな?あとは、今日の記念に、なんて」 


 あれ?固まっちゃった?いや、まあ、自分でもクサいとか思ったけどね?まあいいや、買っちゃおう。もし要らないって言われたら姉ちゃんにでもあげればいいや。

 最上さんが固まってるスキにレジを済ませて綺麗にラッピングしてもらう。透明になってて中身が見えるフィルムみたいな包装をリボンでデコレート、見栄えいいね、コレ。


 「はい、これ」


 ちょっと押し付け気味になっちゃったかもだけど、受け取ってくれたので良しとしよう。

 それにしても、こういうのって何だか照れくさいね、慣れないかも。


 「・・・ありがとう」


 ややもすれば聞き逃しそうな小さな声で、普段なら話すときは顔を見てくれるのに俯きがちで。

 一瞬というには長いけど、スマホを取り出して写真を撮るには足らない時間(実際に撮ったら怒られるだろうけど)しか続かなかったけど、今度は僕がフリーズするには充分で、何が何でもまた見てみたいと思えるくらいの破壊力があったのです。


 

 帰りの電車に揺られる中。いつもの無表情でカバンに入るサイズのそれをわざわざ両手に抱えて座る最上さんをチラリと盗み見て一つの決心をつける。

 いや、朝から決心はしていたんだけど、勇気とタイミングがなかなかね。

 

 「最上さん」


 「何」


 「帰り道にちょっと寄りたいところがあって、時間が大丈夫なら付き合ってくれないかな?」


 「いいよ」


 「ありがとう」


 大事なことだけど、門限があったらダメだからそこは確認して、平日ならまだ放課後になるかならないかくらいだから大丈夫かなとは思ったけど、快諾を得られたので一安心かな。

 相変わらず会話はほとんど無いけど行き程には息苦しくなくて。



 最上さんに付いてきてもらってたどり着いたのは、勝手知ったる我らが一年二組の教室でした。


 「何で教室?」


 うちの中学校はセキュリティ甘くて、休日でも校舎に入れる。ていうか日曜でも部活やってるところもあるし当たり前?

 出来れば屋上が良かったけど、さすがに日曜には解放されてないので、次点で教室かなって。


 「えっと、とても大事な話があって、でも他の誰にも聞かれたくなくて」


 「うん」


 告白のときと同じだけ距離をとって最上さんと対面して、泳ぎだしそうな目を何とか最上さんの目に固定して。


 「これからする話に最上さんは怒ると思うんだ。もしかしたら、いや、きっと幻滅したり軽蔑したりするかもしれない。けど、どうしても伝えなくちゃいけなくて」


 「・・・」


 「怒ってもいいし、蔑んでくれたっていい、叩かれたって当然だと思うけど。どうしても最後まで聞いて下さい」


 「・・・いいよ」


 いきなりこんなこと言い出して不審に思うだろうに許してくれた最上さんに感謝して。

 自己満足だとは思うし、もしかしたら傷つけるかもなんて思い上がりかもだけど。

 やっぱり、どうしても避けては通れなくて。


 「まずは、・・・ごめんなさい!」


 告白の時と同じ九十度。でも、今は顔を見ないといけないから頭はすぐに上げさせてもらう。


 「最上さんに告白したのはババ抜きの罰ゲームでした!告白した時は、最上さんのことは好きでもなんでもなくて、よく知らないクラスメートでしかなくて」


 「・・・」


 「万が一にも成功するだなんて思ってはいなくて、フラれて笑い話になればいい、くらいに思ってて」


 「・・・」


 「最上さんがいいよって言ってくれたのが咄嗟に理解できなくて、ウソっこの告白だったのに彼女が出来たのが嬉しくて舞い上がっちゃって」


 「夜に冷静になってホントのこと、話した方がいいんじゃないか、謝った方がいいんじゃないかって考えたんだけど」


 「バレなければ誰も不幸にならないとか、謝るのはただの自己満足だとか、あれはウソだって言ったら最上さんの事傷つけるかもとか、言い訳ばっか考えちゃって」


 「・・・」


 本当に自分勝手な言い分ばかりだけど、話してる今でもその考えは頭に残ってる。


 「次の日から、最上さんはいつもどおり、普段どおりで、狐につままれたみたいに実感がなくて、何て話しかけたらいいかも分からないから、いつもどおりの日常を送っちゃってて」


 「金曜日に最上さんからメールがあって、それがデートのお誘いで、日曜日が楽しみで仕方なくて、水族館のこと下調べなんかもするくらいで、土曜日をどう過ごしたか記憶に無くて」


 「・・・」


 最上さんから誘われたことは本当に嬉しくて、それこそ舞い上がるくらいっていうか踊りだしそうなくらいで。


 「待ち合わせの時間より三十分も早く着いたのに、もう最上さんが居てめちゃくちゃ焦って。私服姿が新鮮でとても可愛くて、どこかのお嬢様みたいだって思って緊張して」


 照れくさくて口には出せなかったけど、初めて見る私服姿は本当に可愛いって感激して。


 「ほんの少しだけど手を握られて、手汗が出てないかってあせったり、最上さんの手にドキドキしたりして」


 「電車やバスでの沈黙が耐えられなくて、頑張っても会話のキャッチボールは続かなくて。でも、話しかけるとこっちを見てくれるのが嬉しくて」


 「・・・」


 「イルカのショーやペンギンの行列は思いのほか面白くって、水槽のトンネルでこっちから手を繋ぎたいと思ったんだけど、どうしても気後れしちゃって出来なくて」


 「・・・」


 嘘ついてる後ろめたさがあって、どうしてもこちらからアクションが取れなくて。


 「深海魚コーナーで初めて見る最上さんの表情に衝撃を受けて、水槽の前でずっと粘ってる最上さんを見てるだけで待つことが全然、苦じゃなくて」


 「・・・」


 初めて見る、最上さんの特別な表情は衝撃的で何時間でも見てられそうで。


 「お土産コーナーでぬいぐるみのことガン見してる最上さんがなんだか可愛らしくて、喜んでほしくて、でも大きいぬいぐるみにはお小遣いが届かないから小さいのをプレゼントしたんだ」


 あの時の表情は反則的で。


 「あの時の顔をもう一度、何度でも、何が何でも見たいと思って。この話をしたら二度とは見られないとは分かってるけど、それでもやっぱり必要なことだと思ったからで」


 「・・・」


 「こんなことを言う資格は無いんだろうけど」


 「もう一度、あの時の告白はウソでした、ごめんなさい!」


 「・・・終わり?」


 「あと少し!最後まで言わせてください」


 「うん」


 「今度こそ本気で本当です。信用できないかもだけど、ホントにホントで」


 「最上さん、貴女のことが好きです。付き合ってください」


 告げる言葉は全く同じ、だけど、今度は腰は折らず頭も下げない。


 「・・・」


 「・・・」


 怒られるかもしれないし、罵倒されるかもしれない。それでも、顔を背けないし目を逸らすこともしたくない。


 「この子」


 そう言って、ずっと抱えてるソレを一撫でして。


 「この子をくれたのは、罪滅ぼし?ご機嫌取り?」


 「違うよ!ただ、受け取ってくれたら喜んでくれるかなって思った、深海魚コーナーみたいな表情を見せてくれるのかなって思ったんだ!」


 罪滅ぼしとか全然考えてなかったから、誤解されたくなくて、普段の僕なら言えないようなことを声を張り上げてまで言えてしまえる。こんな真剣なことって何時ぶりくらいだろう?


 「知ってた」


 「え?」


 「知ってたの、罰ゲームの事」


 「え?なんで?」


 最初からバレてたってこと?じゃあ、なんで、どうして?


 「丁度、教室に戻ったとこだったから」


 僕の「なんで?」をどうして知ってたのかって思ったみたい。


 「そっちじゃなくて、それもだけど、そうじゃなくて」


 「屋上のこと?」


 「イタズラだって知ってたのに」


 「最初は直ぐ断るつもりだった」


 そりゃそうだ、最初からイタズラだって知ってるんだもん、誰だって断るに決まってるよ。


 「なのに、どうして」


 「魔が差した、のかな?」


 ぽつぽつと語られる最上さんの心情。


 「目には目を歯には歯を」


 イタズラにはイタズラ?


 「少しだけ付き合って、フッてやる」


 それは堪えたかも。


 「次の日からも、変わりなくて」


 ああ、最上さんも同じこと考えてくれてたのかな。


 「金曜日にメールした」


 今日のことは、やっぱり。


 「水族館は楽しみだった」


 それは分かります。深海魚コーナーへ行けば直ぐに分かります。


 「少しだけおめかし、頑張った」


 はい、やられました。僕、全然分かんないんだけど、もしかしてお化粧とかもしてる?


 「会話も弾んだ」


 電車の中の事?あれって会話弾んでたの?


 「トンネルでのことも知ってる」


 挙動不審だったのバレてた?今更だけど恥ずかしいです。


 「今日で終わらせるつもりだった」


 あれ、深海魚コーナー以降はスルー?


 「この子」


 そう言ってもう一撫で。


 「この子に免じて続けてあげる」


 「それって」


 「許さないよ?」


 「はい、ごめんなさい」


 「傷ついたの」


 「すごく怒ったの」


 「不安だった」


 「少しだけ楽しかった」


 「岡島久太くん」


 二度と見れないと思った表情かおはやっぱり見れなくて、でもとっても特別な表情かおで──

 

 「一生をかけてご機嫌を取れ」

お読みいただき、ありがとうございます。

ハッピーエンドが好きなのでラストはこうなりました。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 最後のセリフが,かっこよい。
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