お互いの魔法
勇者の翼を大きく開き、6つの勇者の烈光弾をシルフに向けて放つ。と同時に直感の意志が勇者の光で剣や槍、斧や弓と言った多くの武器をシルフに向けて放ってくれる。
この勇者の光による弾幕は、知っていたとしても中々対抗できないだろう。ここから分身と電気式虚栄連撃で撹乱し、無限回転突きを叩き込む。それが一番だろうか。
「魔法は苦手なんじゃなかったっけ!?」
「ああ、苦手だよ。細かいコントロールが出来ないからなぁ!」
先に撃った勇者の烈光弾は、同じように放たれた闇属性の魔力烈弾のような光弾で相殺される。続いて様々な角度から勇者の光武器が襲い掛かるが、シルフは余裕そうな笑みを見せた。
「ダルク・ヘル・シールド!」
呪文名を叫んだ瞬間、シルフを中心に闇属性バリアが展開される。そのまま俺の勇者の光武器が襲い掛かっていく。が、全ての武器は底なし沼に呑み込まれていくかのように、バリアへと呑み込まれて跡形も無く消え去ってしまった。
今の魔法の性質……そしてダルクはアンさんの苗字だった筈。まさかコイツ、アンさんの魔法を研究して再現しているのか!? この魔法があるのなら、魔法合戦じゃ勝ち目が無い……!
「だったら、これでどうだ!」
勇者の翼の先を掴んで引っ張り、シルフの方へとぶん投げる。魂のエネルギーはアンさんの魔法を防ぐ事は出来ない。だがシルフは風属性のオーラを纏い、ブーメランを杖で叩き落す。
やっぱり、この程度の攻撃じゃ当たってくれないか……魂のエネルギー以外の魔法は通じない。こうなったら、直感の意志に魂のエネルギーで魔法を相殺しながら接近戦に持ち込むしかない。
「その構え、もう魔法合戦は終わり?」
「俺流の魔法を見せてやるよ……! 行くぞっ!」
シルフに向かって強烈な加速、妨害の為に撃たれた光弾は勇者の翼が自動的に弾いてくれる。距離を詰めようとする俺に、シルフは風の四天王らしく風の壁で動きを止めようとしてくる。
だが風の壁というなら、無限変化水流の左腕の変化で充分に対応できる!
「空気変化道!」
強烈な風の壁の中央に、変化で無風の円を作った。その円を潜り抜け、更にシルフへの距離を詰める。俺についてくる太陽の剣を掴み取り、大きく振りかぶる。シルフは俺から離れようと風で後退するが、俺の体から素早く別の俺が飛び出し、シルフを片腕で捕まえる。
「分身……も、魔法か」
「ああ、それじゃ大きな一撃だ!」
直感の分身がシルフを俺の方へと投げ飛ばす。投げられたシルフに狙いを定め、呼吸を合わせてすれ違う様に一閃……斬り裂いた。




