ラプトルの扱い
ダークエルフの青年からラプトルを借り、何とか乗ってみる。生き物に乗るのは初めてだけど、何とかバランスは取れるな。動き出したらどうなるか分からないけど、一気に振り落とされるなんて事は無いと思う。
しっかりと手綱を持ち、ラプトルの首を優しく撫でる。ラプトルは嬉しそうに喉を鳴らし、尻尾を何度も地面に叩き付けていた。
「おお、直ぐに懐かれてんなぁ。動物に乗った経験は?」
「無い……あー、いや1回だけドラゴンに乗った事があるかな?」
不死山に居た頃にドラゴンに乗せてもらったけど、ドラゴンは背中が広すぎて乗るというよりは座らせてもらうって感じだったから違うかな?
「ちょっと感覚が違うな。まあ、少し走らせてみろよ」
走らせてみろと言われたが……えっと、どうやって動いてもらうんだ?
「とっても簡単ですよ。神力を通して心の中で指示してみてください」
「おいおい、そんな方法で……」
「お、出来た」
フェルの言う通りに神力を通し、心の中でゆっくりと歩くように頼んでみる。ラプトルは俺の指示を受け取ってコクリと頷き、ゆっくりと歩き始めてくれた。ある程度進んだところでUターンしてもらい、2人の前で止まってもらう。
うん、バランスもしっかり取れる。これなら走り出しても風属性でバランスを取れる筈。ラプトルも良い子だし、これなら魔王城までかなり早く着きそうだ。
「あ……それで行けるんだ」
「ああ、案外簡単なんだな!」
神力で口に出さなくても指示できるのが楽だし、速いから乗る事に疲れる前に魔王城に辿り着くだろう。義足が食い込んでちょっと痛むかもしれないけど、そんなのは簡単に治せる範囲だ。
「それじゃあ、早速だけど行くよ。魔王城の手前に着いたら、ラプトル達には帰ってもらうから」
「私の分身を乗せて安全に帰しますのでご安心ください」
「おう、それじゃあ気をつけてな! また会えたら本当に狩りに行こうぜ!」
ダークエルフの青年はニッコリと笑って、街の方へと戻って行った。青年の背中が見えなくなった後、俺達はラプトルを魔王城の方へと走らせる。
うーん……速い。確かに速いんだけど……さっき青年が追いかけてきた時はもっと速かったような気がするんだけど?
「もう少しスピード出せないか?」
「出せるとは思いますが……少々難しいですよ?」
「教えてくれ」
「ラプトルの全身に神力を纏わせて身体強化をしてあげるんです」
フェルがお手本を見せてくれるようにラプトルに神力を纏わせ、一気に加速する。参考にして俺もラプトルに神力を纏わせて身体強化させて加速してもらう。
うっ……流石に加速が凄すぎて、義足の食い込みが激しい……けど、これなら数分で魔王城に辿り着ける筈。
「フェル、このスピードで行こう。ラプトル、大変かもしれないけど頼むぞ!」
「了解です!」




