遊撃隊への説明
リッターさんと連携方法を話し合う約束を取り付け、学生用のテントに戻る。遊撃隊のメンバーに騎士団と連携したい旨を話す為だ。
遊撃隊の目標がヴォルテールに決まったのは話したけど、騎士団と連携を取る云々は俺の独断だからな。ヴォルテールとの戦いでは個々の強さも重要だけど、それ以上に数の力が重要になってくる。その為に騎士団との協力が必要不可欠だ。
「おお、レイジ。どこ行ってたんだ?」
「ちょっと騎士団長の所にね」
遊撃隊の3人が学生用のテントの中で朝食を取っていた。余っていた椅子に座り、直感の分身に飲み物を取りに行かせる。アンさんが分身をそんな事に使うなんてという非難の目で見てきてるけど、自分で取りに行くのが面倒なんだから仕方ない。
「騎士団……そう言えば、次の目標であるヴォルテールと戦っていたのは、騎士団長であるリッターさんだったな」
「じゃあ騎士団と協力してヴォルテールってのを狙うのか?」
「その事なんだけど……皆にはヴォルテールの周りの魔物の足止めに専念して欲しいんだ」
「……理由を聞かせてもらおうか?」
「今朝ピグマと話していた時に、ヴォルテールの洗脳のトリガーはキスだって話してたんだけど……」
「トリガーって何ですか?」
「え……ああ、洗脳される時のヴォルテールの行動って感じかな?」
成程。銃が無いなら引き金なんて言葉が存在しないのか。予想外の事で戸惑ってしまったけど……話を続けよう。
「そう言っていたな」
「その予想は間違いだった。騎士団の何人かが戦闘の間で洗脳されたらしい」
「洗脳……ですか」
「うん。幸いな事に気絶させれば洗脳は解けるみたいだけど……遊撃隊の誰かがうっかり洗脳されれば、間違いなく戦況は魔王軍に傾く」
「じゃあ、ヴォルテールは誰が相手すんだよ?」
「その事に関しては、レイジ・スギヤは洗脳を無効化出来るそうだ、つまり、君がヴォルテールと1対1というわけだな?」
と言うのが理想なんだけど、ヴォルテールの事だ。絶対に護衛の魔物を傍に置いているだろう。その魔物とヴォルテールを撤退まで追い込むのが俺の役目だ。直感の分身や四属性剣からの分身連撃を使えば悪い状況にはならない筈。
「おいおい、いい加減アタシも強い奴と戦いてえよ」
マズいな、そろそろレッカのストレスが爆発しそうだ……ヴォルテールが強化した魔物は充分強いと思うんだけど、説明しても実際に戦うまでは納得してくれないだろうな。
「じゃあ分身に周りの足止めをしてもらうから、レッカ。一緒に戦ってくれるか?」
「っ! 勿論だ!」




