軽い挨拶
従者達が配っている朝食を受け取り、周りを見渡す。リッターさんを見つけ、スープをこぼさないようにゆっくりと近付いていく。部下らしい騎士の人と話しているけど……俺もその輪に飛び込んでしまえ。
「リッターさん、おはようございます」
「おお、レイジ君。昨日はお疲れ様」
「いえいえ、騎士団の方が戦線を支えてくれたおかげです」
リッターさんに話しかけると、部下らしい騎士の人の視線が俺に向いてくる。申し訳ない気持ちが湧いてくるが、これも今日の戦闘の為に必要な事なんだ。
「そう言ってくれると嬉しいね」
「もしよろしければ一緒に食べませんか? 今日の戦闘の事でご相談したい事があるんです」
「ああ、構わないよ。あっ……君は……」
「私も構いません。貴方がレイジさんなんですね、団長から良く話を聞いてます」
あっ、この人……鎧と兜で分からなかったけど、女性だったんだ。女性の騎士も当然いるよな……エリーさんも鎧を着ていたし、あんまり性別は関係無い職業なんだ。
というか、リッターさんは俺の事を話し過ぎでしょ。騎士の方がちょっと遠い目をしてるよ。どれだけ話したらこんな目をするようになるんだ。
「レイジ君の従者の方が飲食の為の机と椅子を用意してくれたから、そっちに行こうか。他に何人か部下が来るけど大丈夫かい?」
「大丈夫です。騎士団の方に相談したい事があったので」
と、言う事で俺の従者が用意した簡易的な飲食スペースで朝食を取る。本題は食事の後と言う事で、騎士団の方との雑談を楽しんだ。
俺の不死山キャンプの話題は結構盛り上がったけど、カマキリを食べた話はドン引きされた。盛り上がる自信あったんだけどな……
「……さて、朝食も終えた所で、本題の話をしようか?」
「そうですね。正直に聞きます……騎士団の皆さん、ヴォルテールに勝ち目はありますか?」
俺の率直な質問に、騎士団の人は目を伏せた。リッターさんがやれやれと首を振り、大きく溜め息を吐く。表情が疲れている……隠す事を止めたようだ。
「まあ、無いわけじゃないけれど……かなり薄いよ。1体の魔物につき、騎士が3人居ても勝てるか勝てないかというところだ。全くネルガ殿も口が上手い……で、その事を聞いてきたという事は、次の遊撃隊の目標が……」
「ヴォルテールになりました。ですので、少しでも連携が取れればなと思ったんです」
「成程……後半の頃、ピグマ君が後ろを掻きまわしてくれたおかげで、少し楽になったしねえ。遊撃隊の皆さんが参戦してくれれば、かなり有利に進められそうだ」
他の騎士の方の反応も中々良さそうだ。さて騎士団とはどうやって連携しようか。




