受け取った物、具現化
また目が覚めた……フェルのおかげか、今度は一気に目が覚めた。視界も綺麗だし、頭も冴えている。周囲からはアンさんやピグマの話し声が聞こえる……フェルに会いに行ってから、そこまでの時間は経っていないようだ。
短時間の睡眠でも、頭痛は無いし変に気持ち悪くも無い。短時間の睡眠って調子良くなるよな……何と言うか、ちょっと精神的にも落ち着いてきた。
「あれ……レイジさん、もう起きたんですか?」
「ああ……用事は済んだからな」
「忘れ物とやらは、持ってこれたのか?」
「勿論だ。早速出してみるよ」
フェルは確か……ペンダントを通じて送ってくれると言っていたな。ペンダントを取り外して見るとそれぞれの義手と義足が共鳴するように反応している気がする。
俺用に調整や改造を施したとはいえ、元は守護神獣が授けてくれた神具だ。同じ守護神獣からの神具同士で反応しているんだろうか……?
「まずは剣……!」
ペンダントの反応に、太陽の腕の闘気を反応させる。俺の右腕に現れたのは、刀身から持ち手、鍔まで全てが灰色に染められた剣……だが、太陽の腕の闘気を吸収し、刀身に橙色の炎の文様が走り出す。
これが……太陽の剣、ヤパンで1度だけ使った事がある。あの時は確か……左腕の代わりにしたんだ。炎属性の剣……竜人の拳技との相性は抜群だろう。
「次に盾……!」
今度はペンダントに雷光の脚の闘気を反応させる。今度は俺の左腕に灰色でひし形の盾が、装着された状態で出現した。同じように闘気を吸収し、黄色い雷の文様が描かれる。
雷光の盾……着けているだけで、どんな攻撃だって受け止められそうだ。それに守る硬さは、攻める硬さへと転じる事が出来る。何かがあれば第二の武器となってくれる筈だ。
「これは……マフラーだな」
今度は吹き荒れる右脚の闘気だ。首元に灰色のマフラーが巻かれた感触、端の方を手に取ると緑の風の文様が既に見られる。
そよ風のマフラー……だったっけ? 苦手な治癒魔法を助けてくれる神具、吹き荒れる右脚と組み合わせれば、電気式肉体酷使のリスクも無くせる筈だ。
「最後に……鎧か」
無限変化水流の左腕の闘気で、灰色の鎧が装着された。水の流れのような青色の文様の鎧は、オーダーメイド品のように体にしっくりと来る。義手と義足の動きを阻害しないようにちゃんと考えれた鎧だ。フェルが調整したから……当然か。
オツェアーンで鋼水の鎧を作った事があるけど、こっちの方が良い。変化へのイメージが湧いてくる……名前は確か、海流の鎧だったな。
「勇ましい格好だな……僕達のリーダーに相応しい恰好じゃないか」
「認めるのは悔しいですけど……勝てる気がしませんね」
これでオルクス四天王でも、2人同時に相手にする事が出来るだろう。特に四天王の中では武闘派なサラマンドラとシルフ、属性の相性も良いあの相手を2人同時に相手する位は考えないと……!




