歪んだ着地
遅くなってすいません!!
地獄から解放され、不便な体に意識が戻る。凄い勢いで雲が流れていく。
うわ……本当に寝れる位、快適だったんだ。下にはアリみたいなサイズに見える鹿やら猪がドンドン流れていく。見た事のない魔物とかも見える。この飛行機、本当に物凄い勢いで飛んでるんだな。大真面目にネルガ空港を考え……なくても駄目だね。
(アテンションプリーズ、起きてるかー?)
「ああ、今起きたところだよ」
頭の内側に、気の抜けたオッサンの声が鳴り響く。まだ、頭はボーっとするし、夢のせいで筋肉痛になったけど頭はセーフだから。
(後1~2分で着地予定だ。受け止める必要は?)
「無いよ。絶対にフェルは俺を助ける」
槍全体が傾く感覚。空が遠ざかっていく。このままの勢いで着地すれば俺は衝撃で即死だろう。
しかし、全く怖くは無い。フェルが俺を助けない訳がない。俺の危機にアイツが助けに来ない訳がない。
「………………!」
槍に大して向かい風が吹く。槍が減速しゆったりと何処かに突き刺さった。衝撃波は全く無く、俺の体にはこっそり疲労回復の魔法もかけられている。
この魔法は間違いなく、フェルのものだ。そんな気がしている。確信をしている。
「いらっしゃい、杉谷零司君……いや、レイジ男爵と呼ぼうか」
「お迎えありがとうございますよ、山田翔さん。いいえ、ショウ侯爵」
槍に収まる俺を覗き込んだ男は、髪をきちっとして、後ろで結んでいる。勿論、顔は整っていてカッコいい。青の中華服が似合っている。
服装から察するに、ヤパンは多分日本だけじゃなくて、中国の文化とかも混ざってそうだ。いや、そんな事よりも…
「うへぇ……堅苦しいや、タメにしてくれ」
「ああ、そうさせてもらうよ」
このオッサンが、女神シェーンから恩恵を貰っている…つまり、まともな転生者。持っている恩恵は未来を見通し、新たな未来を切り開き続ける千里眼の持ち主。
「おいおい、そんな大したモンじゃねーよ。他の異世界の転生者に比べれば、俺なんざ可愛いもんだ。……引っ張るぞー?」
ショウが俺の体を引っ張り、槍から引き出す。結ばれていた鋼のロープを見て、ショウはフリーズした。
あ……ショウは確か、千里眼があるだけで魔法とかはシェーンの一般人レベルって……
「どうしよう、俺じゃこのロープ安全に切れないや」
(遅いぞ!レイジ!!)
突然、白いモフモフが俺の視界を包む。この声は間違いなく天照だろう。毛が暖かくて気持ち良い……お日様の香り……
あ、天照は日本じゃ太陽の神様だ……
「…………zzZ」
(また眠るか、当然だな。ショウ、我の背に乗せろ。そのまま、社まで連れて行く)
「了解、んじゃ失礼して……痛ってぇ!? 何するんだ?」
(戯け! 乗せるのはレイジのみだ!)
「そんなぁ!?」




