回避すべき惨劇
右腕の太陽の腕からじんわりと温まっていく。温かさは腕を伝わり、胸から左腕へ、首へ広がって……
「馬鹿! 強くしすぎだ!」
温かさ、つまり闘気を発していた右腕が爆発する。夢なので痛くは無いけど……気分が最悪だ。また闘気の調節を間違えてしまった。
「闘気を右腕で産み出すのは出来てるな。元々、大きく集めて大きく動かせるのは視えてたしな」
大きく集めて大きく動かすのは、太陽の腕からイメージとして流れ込んできたのもあってなんとか出来る。前回の夢の世界で盾作ったりビーム撃ったりした時は、ギュオンッ! と溜めてドカーン! とか、ガチッ! とイメージも簡単だった。
「この耐性魔法は大雑把な闘気のコントロールじゃ駄目なんだ。こうして」
目の前で俺の影が、目を凝らして見えるかどうかの薄いオレンジ色の膜を身に纏う。
簡単に目の前でやられるけど、いざ実行すると右腕に闘気を溜め込みすぎて爆発してしまう。
「必要最低量を用意して、水に濡れたガーゼのように肌に張り付かせるんだ」
影は俺に手を翳すと、爆発した太陽の腕が再生される。もう5回は失敗したんだが、一向にヒントは掴めない。
「難しい事では有るけどな。バットも握った事ない奴が、いきなり150キロ打てって言われてるもんだ。だが、やってもらう。シェーンを滅ぼされるなんて俺はごめんだからな……」
「フェルがそんな事をするとは思いたくないんだけど、なんでそんな事になるんだ?」
フェルはむしろ、俺の為なら自殺をしそうな位、愛が重……凄いと思うんだけど、どうしたらシェーンが滅ぶ事態になるのか?フェルが世界を滅ぼす理由が分からないんだけど……
「お前が死んだ時に言う言葉だ」
「え?」
「読心を防げず、罠に掛けられるのが視える。その未来ではお前は死ぬんだが、死ぬ間際にこう言ってしまったんだ。《もしも、許されるのなら……フェル、また君に恋をしたい》その一言で、彼女は世界を滅ぼした」
「え……気持ち悪。本当に俺が言ったのか?というか、さり気無く俺死んでるんだけど?」
「ああ、少人数が好みそうなゲーム位死ぬ未来があるぞ。殴られて死ぬわ、蹴られて死ぬわ、刺されて死ぬわ、燃やされて死ぬわ……レアスチルには抱きしめられてキスされて内側から毒を流し込まれて死ぬ未来もあるぞ」
何ゲームみたいに語ってくれちゃってんだ!? というか、死ぬ未来が多すぎて笑えない! 最後の方に至ってはわざと死なないと見れないようなやつだろ!
「まあまあ、今のこの特訓によって死なない未来も増えてるんだから頑張ってくれって。俺じゃ彼女には勝ち目がない。お前じゃなければ駄目なんだ」
俺じゃなければなんて……主人公じゃあるまいし。でも、フェルが他の奴に倒されるとかして欲しくないし……俺が勝てればそれで良いか。
◆
ゆっくりと、体に薄い膜を纏っていく。闘気が体を包み、暖かい。これならフェルの読心は通じない!
「あと、身体強化に闘気の攻撃、防御の訓練。それをしながらの耐性の維持。全部俺と模擬戦しながらやるからな」
「ヒイイイイイイイ!?」
レイジ好かれてるなぁ……(目逸らし)




