表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/591

まだまだイチャイチャ 異世界グルメ?

先に言います。誤字じゃないです!!!

 フェルと街を巡っていると、子犬の鳴き声のような音がフェルの方から聞こえてくる。フェルを見ると、顔を真っ赤にして俯いている。

 前もこんな事があったような……俺も腹減ってきたしな。この辺で、異世界のご飯を(既に何回か食べたけど)食べるとするか。まぁ、地球にある食材+αなので、変なチャレンジ精神を出さない限り失敗は無いだろ。


「なんか食べるか。行こうぜ、フェル」


 こういう時は地球だったらチェーン店を信頼するんだけど…この世界にフランチャイズが出来るレベルのアイデアは期待出来ない。それなら、匂いと直感。それで決めるしか……?

 なんか、良い匂いが……どこからだ……?


「こちらから匂いが……」


 フェルが俺の手を引いて、匂いの元へ連れて行ってくれる。辿り着いた店の看板は読めない。けど、匂いと直感が答えを導いてる。ここは、多分、ラーメン屋だ!


「ラァメン……ですので正解ですね。小麦粉で作る麺。様々な旨味を抽出したスープ、野菜や肉の具材……知識としては知っていましたが、食べた事は当然ありません」


 フェルの方からジュルリと涎を啜る音が聞こえる。この独特な臭いのに食欲を呼び覚ます匂いは…豚骨ラーメン!

 博多の豚骨! 地球に居た頃は友人と臭い豚骨ラーメン屋程美味いという結論を出していた。そして、この店の臭さは間違いなく美味い! ……いや、褒めてるからな?


「フェル!」


「失礼します!」


 俺とフェルは心の赴くままに、店へと入る。綺麗な内装、木製のテーブルと席。セルフの給水器に嗅覚を襲う独特の香り。


「いらっしゃい! 好きな席にどうぞ!」


 オープンキッチンの奥から店主らしきゴツイ男からの声が響く。促されるままに、壁際の二人席に座る。壁に貼られる紙。読めないが、何を書いてあるのか、俺の魂が理解している。


「あ、あの……硬めとか濃いめって何ですか?」


 俺の見ていた紙を見て、フェルが質問をしてくる。


「硬さは麺の硬さ、つまり茹で具合だな。濃さは。スープの味の濃さ。店によってはスープに浮く油の量も変えてくれる。人によって色々自分好みに調整するんだ」


「なるほど、レ……レ…………」


 急にフェルの言葉が止まる。何かの攻撃を受けたか!? いや、それなら俺のマントの防護壁(バリア)が発動しそうだけどな……?


(なんとお呼びすれば良いのでしょう? レイジ様では領主だとバレてしまいます)


『レイで良いよ。こっちも適当にルーフェって呼ぶことにする』


 呼び方で止まっていたのか。確かに、街の中で呼ばれた時も凄かったし……単純だけど、レイジよりは居そうな名前になっただろ。


「では、レイ。貴方はどんなラァメンを好むんですか?」


「俺は麺だけ固めかな。地球(あっち)ではハリガネって硬さを好んでた」


 あくまで博多ラーメンの時は、だが。因みにお米も好むタイプだし、替え玉も好むタイプだ。

 そろそろ、注文するか。さて、異世界のラーメンはどうだ?



「へい、麺硬めのラァメンと、普通のラァメンです。ごゆっくり」


 店主が、俺達の机にラーメンを運んでくる。用意された蓮華でスープを一口飲む。


「……っ! レイ、とっても美味しいです!」


 フェルが興奮した様子で、ラーメンを褒める。自分の好きなものが褒められるのは嬉しいな。


「このパスタよりも細い麺! 麺の味もしっかり感じる事が出来ます! スープは見た目の淡い白色なのに、予想外に濃厚な味わい。しかし、麺の味を引き立てるようです! これが豚の骨から作られたスープなんて驚きです……あ…………」


 嬉しそうに語るフェルを見ていると、フェルが顔を赤らめる。自分のラーメンを褒められていた店主は腕を組んで、嬉しそうに頷いている。


「ルーフェも気に入ってくれて嬉しいよ」


 俺も麺を一口啜ってみる。スープが程よく絡む麺。ほんの少しだけ硬く、噛めば弾力に近い触感を感じる。

 地球でも最近食べれてなかったし……よく親父と食べに来たもんだ。懐かしい……


「…………今度は皆で食べに来ましょう」


「……そうだな」


 家族の事を思い出して、少し寂しくなった。けど、こっちの世界にだって家族のような繋がりがある。特にフェルは特別だ。俺にだって、フェルしか居ない。


「では、替え玉ください!」


「あいよ!替え玉一丁!」


 …………フェルしか、居ないのかなぁ?

フェルさん、ポンコツ可愛い←

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ