レイジ“男爵”の領地視察 準備
食事を終え、領地への挨拶のためにそれっぽい服を着ることにした俺は、フェルと共に近くの客室で服を創る事にしていた。
「どのようなお召し物を?」
「手足が無いからな……適当に体を覆えるコートで足を隠して、上からマントで腕の無い袖を隠そうか」
「かしこまりました。創造 : 外套 : 快適温度」
まず、フェルが創り出したのはコートだった。フードは付いてないし、チャラチャラと装飾はしてないが、真っ黒な現代よりのデザインのトレンチコートだ。しっかりと本来ならある筈の足を隠す長さだ。
フェルがブレ、分身がサッと現れて俺にコートを着せようと服を脱がし始める。恥ずかしくっても俺には着替える手段がない。されるがままにフェルに着替えさせてもらった。
「次はマントですね。マントへの付与はどう致しましょう?」
着せられたコートには何か付与がしてあったけど、聞いたことの無い英単語だった。しかし、着てみれば身体で理解できる。周囲の気温に合わせて、快適な気温をもたらしてくれる付与だ。身動きできず、体温を調整する手段が乏しい俺にはありがたい。
「フェルの思い付くもので頼むよ」
「喜んで……創造 : 外套 : 付与 : 防護壁」
創られたのはシンプルなデザインの、体を隠す為だけのマント。しかし、付与された能力の名前に俺は期待を隠せなかった。
「バリア……! 異世界らしい響きだ」
「喜んで頂けて何よりです。このマントは人の魔力に反応し一瞬だけ時を止め、バリアを展開するという付与です」
「一瞬だけ時を止める……そんな事が可能なのか!?」
フェルは嬉しそうに表情を綻ばせながら、分身のフェルにマントを渡し、俺にマントを羽織らせる。
あれ、嫌な予感が……? ちょっと、フェルさん、何か目に見えるレベルで無属性の魔力をかき集めていませんか?
「極大 : 光線」
「ちょっ!?」
フェルの人差し指から、巨人が口から放ったのではないかと思うほどに巨大な白い光線が放たれる。しかし、俺のコートが淡い黄緑に輝き、俺を中心に人が3~4人入れそうな黄緑のバリアが展開された。
「し、死ぬかと思った……」
「このように私がノータイムで放つ、高レベルの魔法も防いで見せます。魔法感知精度も高く、魔法感知範囲も3~4キロメートルは有ります」
主人にノータイムで魔法を放った事には謝罪なしですか! どんだけ、このマントに自信があるんだよ……
「まあ、今ので信頼できる。ミハエルの所へ戻るか」
「ええ、行きましょう。レイジ男爵」
その呼び方止めて、マジで。
魂の同調が追い付いてきて(シリアスが減ってきて)地球時代のレイジに近付いてきました!




