時間『は』稼いだ
剣を通して流れてくる電流が水の手足を伝おうとしてくる、が、水を純水に変化させる事で電気を通さずに感電を防ぐ。洗脳も何とか防げたし、これは……俺だけでも行けるか?
「ちょっと、何で洗脳が効かないのよ! あんなに激しくシてあげたのに!」
「さあな、魂まで通じなかったんじゃねえの? それにお前の偽物の愛なんて、本物の愛を受けている俺には響かないんだよ!」
なるほどな……洗脳のトリガーって、そういう事をヴォルテールと行ったかどうかって事か……もしも、俺がフェルやレオとそういう関係になってなくて、操られていたら……とんでもない事になっていたかもな。
剣を構え直し、一旦後ろに飛び退いておく。俺は1人じゃない、だから無茶をする必要も無い。フェルが加護を授かった武具を受け取るのまでの時間を稼ぐだけだ。
「レイジ様、ヴォルテールの洗脳を防げるのですか?」
「そうだな。アプサラスの変化もあって、俺も変化に耐性が出来ているらしい。ネルガ、俺が前衛で……」
「私も前衛ですな?」
脳筋過ぎる考えだが、今の俺と筋肉一筋のネルガだったら妙な小細工は無し。ガンガン行くのが定石だろ!
俺とネルガは同時に踏み込み、ヴォルテールを左右から迎撃する。超高速の挟撃、俺だったら防げないな!
「そうねえ……2人とも、こういうのはどうかしら?」
ヴォルテールは俺達が動き出したのを見て、来ているボンテージの胸部分を捲り上げる。と言う事は、綺麗な色をした……その……アレが見えるわけで。ネルガも思わず顔を隠して立ち止まっている。
しまった……こんな方法で連携が崩れるなんて!?
「貴方にはこういうサービスもしてあげるわ」
「っ!?」
俺も動揺して体の動きが鈍る。ヴォルテールは俺の動きを見切り、俺の視界が黄色く染まる。ひんやりとして吸い付くようなモチモチとした感触。左右から挟み込んでくる柔らかな感触と甘くて良い匂い……こ、これって……?
「先代勇者様も相変わらず、色仕掛けに弱いのね」
「レイジ様……申し訳ありません」
ヴォルテールに触れている部分から直接電流が流れてくる。変化した水が間に合わない……マズイ!
「させるか! 四属性剣!」
フェルの声が聞こえ、ヴォルテールの電流が止まる。これなら、抜け出せる!
ヴォルテールを突き飛ばし、急いで横へ転がり回避する。俺が突き飛ばしたせいでヴォルテールは尻餅を着き、フェルの放った虹色に輝く魔力の剣は頭上を通り抜けてしまった。だけど、フェルに加護が授けられた武具が……えっ?
「正直、私も驚いてます」
兜無しの水色の鎧って……何それ、女性向けのデザインで……ゴツくない細身のデザインで、こう……女性版勇者の鎧って感じがカッコいい……!
久々の省かれシーン
フェル:レイジ様、後でお説教です
レイジ:……はい