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勇者の心意気

 強さの根源……? 強いのかどうかは置いておくとして、いやここにいる影位使いこなせばかなり強いんだけど……この強さの根源?


「言イ方ヲ変エヨウカ。何故、オ前ハココマデ強クナレタ?」


「何故って……太陽の腕や、雷光の脚(ライトニングレッグ)吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)……それと、フェルの剣、天照やショウ、カグヤから教わった技術……もしかして……?」


「ホウ……気付イタカ?」


 俺の強さの根源は……皆、なのか? 間違いない、フェルやレオ、ネルガにショウ、カグヤ、守護神獣の皆のおかげで俺は強くなれたんだ。


「俺の強さの根源……それは、皆のおかげだ」


「ソウ、ソノ通リダ。オ前ハ皆ノ力ニヨッテ強サヲ得テイル。自身ガ勇者デアル事ヲ否定シヨウガ無駄ダ」


 自分が勇者である事を否定しても無駄って……そんな……


「だって、勇者っていうのはもっと強くて、自信に満ち溢れて、勇敢で、人を引っ張れるような……俺と正反対の奴がならなくちゃいけなくて……」


「ソンナノハ勇者デハ無イ。勇者トハ誰ヨリモ弱ク、自信ナド常ニ無ク、臆病デ、ソシテ人ニ寄リ添ウ……オ前ノヨウナ存在ガ勇者デ有ルベキダ。オ前ガ言ウノハ所詮、御伽噺ノ勇者ダロウ?」


「それでも……俺は……!」


「勇者トハ自分ガ認メルモノデハ無イ。他者カラ自然ト認メラレルモノダ」


 俺が勇者だなんて……認めちゃいけないって思ってた。だって俺は、手足も無く、技術が無く、魔力も無い……1人じゃ何も出来ない弱い存在だから。でも……違うんだよな? 俺はそう認めてもらえるんだな?


「なんか……頭の中の靄と、体中の重りが取れた気分だ」


(レイジ! 不安を取り除けたのね!? だったら、早くこっちに)


「いいや、まだだ。最後に、お礼を見せなきゃな!」


(何を言ってんのよ!? もう不安なんて無いでしょ?)


「ああ……既に、不安は無い」


 だけど……目の前に残る、俺の不安のフリをしていた影にお礼は見せないとな!


「フフフ……勇者ガ代々受ケ継グ四属性(エレメンタル)ニ自力デ到達シ、異界ノ知識ニテ強弱ヲ乱ス者ヨ……少シバカリ、俺ト遊ンデモラオウカ?」


「喜んで!」


 影の体は虹色のオーラに包まれる。俺の体は天の岩戸でフェルと戦った時のような桃色のオーラに包まれている。この戦いだって……俺の為の戦いじゃない。俺を勇者と認めてくれた皆の為に……!


「行くぜっ!」


「来イッ!」



 瞼を開ければ、シーが泣きそうな表情でこちらを見ていた。大分……時間をかけちまったな。ストリーは我慢してるが、ラクシュが辛そうに舌を出している。無茶させてたみたいだな……


「もう……起きないかと思ったんだからね」


 酷く掠れた声……こんな猛毒の海では、回復に時間がかかるだろう。あの美しい歌声の為に、まずはアプサラスを正気に戻そう。


「話すのは辛いだろ? 今は水面まで連れて行ってくれ」


 今の俺は、太陽の腕も、雷光の脚(ライトニングレッグ)も、吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)も……いや、何も無い。それでも、皆の為に……だろ、初代の勇者様?

勇者ってのは、強くなくても良いんだぜ?

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