答えへの前進
右腕の太陽の腕、左足の雷光の脚、右脚の吹き荒れる右脚に左腕の名も無き水属性の腕……全てを合成した四属性を使いこなし、魔法だけでここまで圧倒されるなんて……本当に正攻法じゃ勝ち目が無いな。
「ソレトモ、マダ戦ウノカ?」
「……そうだな、今までだって勝ち目が無い戦いだったんだ。今更、この程度で折れるなら、今までだって折れてたよな」
「気付クベキハ、ソコデハ無イ……ガ、考エイテモ仕方ナイ……行クゾ!」
影は太陽の剣と雷光の盾を構え、一歩で大きく間合いを詰めてきた。振り下ろされる剣を横に躱し、ハンドガンを突き付ける。闘気を込め、引き金を引く。この距離なら太陽爆発で!
「鋼水粘液」
撃ち出した魔力弾は影が出した鋼水の壁らしき何かで防がれる。鋼水の筈なのに、妙にドロドロして太陽爆発の衝撃まで和らげている。こうなったら、引き金を引き続け闘気を更に込めていく。
「風機関銃!」
フェルと戦った時は自分の体で放った為に、見切られて足を斬り落とされてしまった。けど、ハンドガンからだったら、見切られても左腕だけで済む。
「無駄ダ」
風機関銃の弾が到達する前に、影の姿が大きくブレる。静かに、俺の首筋に熱い針が突き付けられる。この熱さ……間違いなく太陽の剣だ。信じられない速さだ……
「フフフ……オ前ハ……オ前ノ為ニ戦ッテモ弱イママダゾ?」
「俺の為に……?」
どういう事だ……俺はいつも誰の為に戦っていた? 今この場所では、俺の為の戦いじゃ無いのか?
「今、コノ瞬間モ……人魚ノ3人ハ歌ッテイル。魂ヲ擦リ減ラシ、喉ヲ枯ラスヨウニナ」
「そんな……シーにストリー、ラクシュにそこまで負担をかけているなんて……それなのに、俺は……」
俺は……何も考えずに時間を無駄にしただけ……この不安を取り除ける手掛かりも手に入らない。
(ちょっとレイジー! 聞こえてるわよっ!)
「ストリー!?」
(今、アンタがどんな状況なのかはよく分からないけどね! 1つだけ言える事があるわ!)
「言える事って……」
(私達がアンタの為に魂を込めて歌ってるのは本当よ。だけど、後悔なんてしてないわ! だからさっさと、その不安を乗り越えちゃいなさい!)
……なんか、体に力が漲ってくる。そうか……確かに、自分の為に戦うよりも力が湧いてくるな。でも、正攻法で不安を取り除く事は出来ない。
「フム……自分ノ為デハ無クナッタナ……ナラバ後一歩、不安ヲ取リ除ク為ノヒントヲ与エヨウ」
「ヒント……?」
「オ前ノ強サ……根源ハナンダ?」
強さの根源……って、どういう意味だ?