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俺を不安にさせるのは……

 ここは……? 夢の世界の感覚に似ているけど……蒼……海の中にいるような青色のグラデーションが広がっている。シーやストリ―、ラクシュの姿は見えない。俺だけがこの空間に存在していた。手足はフェルの作った義手と義足。太陽の腕、雷光の脚(ライトニングレッグ)吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)に背中にフェルの作った2本の剣、腰にハンドガン……考えられる最強の装備だ。


(レイジ、聞こえるかしら? 私、シーよ)


 頭の中に直接、シーの声が響いてくる。直接来てくれると思ってたけど、声だけか。もしかして、外でずっと歌ってくれてるのか……? そうだとしたら、申し訳ないな……


(ちょっと、返事くらいしなさいよ! 私からはアンタの姿は見えないの。声しか聞こえないのよ!)


「悪い悪い、ちゃんと聞こえるよ」


 フェルとか守護神獣の念話だと、勝手に心を読まれてるんだと思ってた……シーが知る事の可能なこっちの情報は声だけか。そうなると、夢の世界に似てはいるけど、違う空間なのだから1人は心細いな……


(全く……今から、貴方の魂を不安定にしている何か、ぶっちゃけ不安を形にするわ! それに打ち勝ちなさい、分かった?)


「なるほど、分かったよ」


 やる事はシンプルで分かりやすい……けど、怖いな。俺の魂をあそこまで不安定にさせた何か、それを目の前にして俺は耐えられるんだろうか。


(レイジ……その、頑張ってね)


「……ああ、頑張るよ」


 何かが来る気配を感じ、右手に剣を、左手からハンドガンを構える。ハンドガンがいつもより、軽い。多分、弾倉が入ってないな。闘気は使えるから問題ないか。


「…………ア……」


 来た……けど、コレは……俺?


「嫌……ダ……」


(……のだ、勇者に)


(なる……す、勇者に)


(ナリヤガレ、勇者ニ!)


 これが……俺の不安、なんだな。間違いない、見た瞬間、心臓が握り潰されそうで、背筋は凍ってるし鳥肌が立ちっぱなしだ。


「俺ハ、勇者ナンテ……嫌ナンダ!」


 黒い俺だった……それだけなら、マシだった。右腕に黒い狼が牙を食い込ませ、怒りに満ちた目で黒い俺を責め立てる。左足には黒い鳥が嘴で貫き、冷たい目で黒い俺に重圧を与えてる。右脚では虫の頭が噛みつき、複眼の全てで黒い俺を捉える。そうした、痛みで体の末端が傷つき、焦げ付き、崩れ始め、血を流し、滅びかけようとも立ちすくむ……コレが、俺の不安。


「これは……キツイな……!」


 コイツを倒すって事は、勇者の候補であるという事を、勇者に最も近い存在であるって事を認めなきゃいけない。俺に出来るだろうか……?

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