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毒と麻痺と酸の大群

 今の俺は動けないし、魔力や闘気も操れないので周囲を探る事も出来ない。聞こえてくる声や音に、耳を傾ける事しか出来なかった。レオは気配とか言ってたし……まさか、魔王軍が現れたとか?


「フェル殿、レオ。気付きましたか」


「当然です……野生の魔物、ポイズンリザードにスタンクラブ、アシッドスライムですか……見事に毒や麻痺を扱う魔物の大群ですね」


 毒や麻痺を使う魔物の大群……確かネルガが苦手な魔物じゃないか。魔法の効かない英雄の肉体でも、性質はまともに受けてしまうらしい。いくら服装で多少は弾けるようにしても、肌の出ている手や顔に触れてしまえばガッツリと性質を受けてしまう事だろう。


「なんかコイツら、様子がおかしくねーか?」


「ええ、3種とも基本的に単体で生息しているというのに、大群で現れている時点でおかしいです。それに目の色が真っ赤に染まっています。黒目の部分が赤いのではなく、白目や瞳孔も赤く染まっているのは生物としておかしい」


 その目の様子って何処かで見た事あるような……真っ赤に染まった目。目……そうか、夢で出会ったアプサラスと同じ目をしているんだ! と言う事は、普通よりも好戦的で危険な魔物になっている可能性が……


「私はアシッドスライムを仕留めましょう! 酸如きで溶けるような、柔な鍛え方はしていません!」


「オレがスタンクラブを殺るぜ、触れられる前にぶっ倒す!」


「となれば、私がポイズンリザードですね。この魔物程度の毒ならば、問題ありません」


 それぞれが対処する魔物を宣言し、3人同時に地を蹴る音がする。凄まじい打撃音……ネルガだろうか? アシッドスライムとやらが相手に、拳で戦っている音がする。ネルガならスライム系の魔物でも拳圧でなんとかしてしまいそうだ。


「ウィンドカッター!」


 鋭い風が空気を切り裂く音が鳴り響く。スタンクラブ……多分蟹系の魔物なんだろうけど、レオが相手では甲殻は意味を成さない。レオの風魔法なら、鉄だって切り裂きかねない。


「これならどうですっ!」


「ギシャアアアアアア!」


 フェルの声が聞こえた瞬間、甲高い人ではない悲鳴と破裂音が聞こえてくる。間違いない、フェルが何かしたな。アイツの心配はしていない。あんなに強いフェルが負ける筈など無いのだから…………しかし、やけに戦闘音が続くな……大群とは言っていたけれど、クソッ、皆の姿が見えないのが不安だ。


「こ、これは……!」


「マズイ、大分吸っちまった!」


 ドサリと誰かが倒れる音……まさか、ネルガとレオがやられた!? そんな、魔物に苦戦している様な声は聞こえなかったのに!


「ううっ……これが、変化……油断し過ぎました」


 嘘……だろ? フェルが……?

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