3人でイチャイチャ? ペアイヤリング
本体のフェルに耳かきをされている事、数分。分身のフェルが行っていたイヤリングの改造が終わったようだ。でも……今更なんだが、俺って指紋無いよな? フェルの事だから、何かしらの対策はしてあるんだろうけど。
「だそうですが、どうです? 本体」
「勿論です。レイジ様には特別な認証機能を付けました。宝石を摘まむだけで武器となります」
特別な認証……か。フェルが付けた認証なら、まあ大丈夫だろ。今からレオにイヤリングを渡しに行くとするか。本体のフェルがゆったりと体を起こしてくれる。
「そういう事なら、レオを呼んできます。少々お待ちください」
フェルが言った直後だった。俺のベッドの上に紫の転移陣が現れ、白の下着だけ身に着けたレオが振ってき……た……?
「え、あれ……ここ、ど……こ……」
俺は勿論、フリーズ。顔から火が出るのを越えて、脳みそが水蒸気爆発しそうだ。レオの方も俺を見た瞬間にフリーズ。顔は茹で上がったタコのように赤く染まっていって、湯気を噴いてるように見える。瞬きをした瞬間、俺の顔面に拳が減り込んでいた。
◆
正直言って、俺とレオは今更下着姿を見た程度でギャーギャー騒ぐほどのプラトニックな関係では無いんだけど……予期せぬタイミングで見られたら、一発貰うよな……痛い。
「フェルッ! オレに転移させるなら一声掛けろよ!」
下着姿のレオが分身のフェルに向かって、怒涛の嵐のように詰め寄っている。白……しかも、フリル付きか。うん、素晴らしいな。髪の毛も濡れているし……もしかして風呂上りか。
「申し訳ありません。洗濯しているのかと思ったのですが、まさかお風呂に入って上がった直後とは……フフッ」
確信犯だ……わざと着替え中に転移させたんだな。まあ、嬉しいけどね! 俺も男なわけだし、こういう展開は大歓迎だ。フェルは、良く分かってる!
「で、何でオレを呼んだんだよ? 下らない内容だったらブッ飛ばすからな……!」
レオは段々冷静さを取り戻し、恥ずかしがる事無く腕を組んで仁王立ちをしている。筋肉質だから仁王立ちが似合うなー……って、違う違う! レオの体を見る為に呼んだんじゃないだろ!
「お揃いのイヤリングが出来たから、渡したかったんだよ」
流石にイヤリングは俺に渡させてくれるのか、本体のフェルが義手と義足を取り付けてくれる。ペンダントから魔力が流れ、手足の感覚が戻ってきた。
「ほら、ペアイヤリング。お揃いのアクセサリーが良いって言ってたろ?」
シンプルなルビーが付いたイヤリングを差し出す。顔を真っ赤に染め、何とも言えないといった感じの照れた表情でレオはイヤリングを1つ取った。残ったイヤリングを左耳に着ける。左だからな!俺は左に付けたからなっ!
「えっと……凄く嬉しい。な、なあ……似合う、か?」
恥じらいながら、右耳にピアスを付けたレオ。その乙女な表情に、俺の心臓は激しく鼓動を打っていく。畜生……可愛すぎる! 心臓が痛い……毎回の事ながら、幸せだ……
「レイジ様が悶えているので、私から説明させていただきます。レオ、イヤリングの宝石を指で摘まんで貰えますか?」
「え? あ、ああ……こうか……って、何だコレ!?」
レオが恐る恐る宝石部分を指で摘まむと、宝石が輝きを放っていく。そのままイヤリングは変形し、レオよりも大きな斧と化した。形状変化の魔法って凄いな……小指に乗りそうな程小さなイヤリングが、人間よりデカい斧に変化させれるなんて……
「レイジ様の提案で、レオのイヤリングは斧になる機能が付いています。私の魔法で頑丈が付いています。これもレイジ様とお揃いですね。元に戻す時は、刃の中心の宝石を指で叩いてください。耳に収まります」
「お揃い……エへへ……じゃないっ!なんでこんな機能付けたんだ?」
「いつもレオと戦う時に斧を使い捨ててる事が多かっただろ? その魔力が勿体ないなって、前から気になってたからな。これなら魔力は使わないで済むと思って……要らなかったか?」
なんか俯いてるし……やっぱ、こんな物騒なプレゼントは駄目だったか……
「嬉しいに決まってんだろ! レイジ様ー!」
頭にポンと軽い音を鳴らしながら、跳びかかってくる。あれ、半獣化ってそんな気軽に出来る物だったっけ!?
「おわああああっ!?」
甘噛みしてきてる! 痛いっ……けど、喜んでくれてるなら良いか。