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3人でイチャイチャ? ペアイヤリング

 本体のフェルに耳かきをされている事、数分。分身のフェルが行っていたイヤリングの改造が終わったようだ。でも……今更なんだが、俺って指紋無いよな? フェルの事だから、何かしらの対策はしてあるんだろうけど。


「だそうですが、どうです? 本体」


「勿論です。レイジ様には特別な認証機能を付けました。宝石を摘まむだけで武器となります」


 特別な認証……か。フェルが付けた認証なら、まあ大丈夫だろ。今からレオにイヤリングを渡しに行くとするか。本体のフェルがゆったりと体を起こしてくれる。


「そういう事なら、レオを呼んできます。少々お待ちください」


 フェルが言った直後だった。俺のベッドの上に紫の転移陣が現れ、白の下着だけ身に着けたレオが振ってき……た……?


「え、あれ……ここ、ど……こ……」


 俺は勿論、フリーズ。顔から火が出るのを越えて、脳みそが水蒸気爆発しそうだ。レオの方も俺を見た瞬間にフリーズ。顔は茹で上がったタコのように赤く染まっていって、湯気を噴いてるように見える。瞬きをした瞬間、俺の顔面に拳が減り込んでいた。



 正直言って、俺とレオは今更下着姿を見た程度でギャーギャー騒ぐほどのプラトニックな関係では無いんだけど……予期せぬタイミングで見られたら、一発貰うよな……痛い。


「フェルッ! オレに転移させるなら一声掛けろよ!」


 下着姿のレオが分身のフェルに向かって、怒涛の嵐のように詰め寄っている。白……しかも、フリル付きか。うん、素晴らしいな。髪の毛も濡れているし……もしかして風呂上りか。


「申し訳ありません。洗濯しているのかと思ったのですが、まさかお風呂に入って上がった直後とは……フフッ」


 確信犯だ……わざと着替え中に転移させたんだな。まあ、嬉しいけどね! 俺も男なわけだし、こういう展開は大歓迎だ。フェルは、良く分かってる!


「で、何でオレを呼んだんだよ? 下らない内容だったらブッ飛ばすからな……!」


 レオは段々冷静さを取り戻し、恥ずかしがる事無く腕を組んで仁王立ちをしている。筋肉質だから仁王立ちが似合うなー……って、違う違う! レオの体を見る為に呼んだんじゃないだろ!


「お揃いのイヤリングが出来たから、渡したかったんだよ」


 流石にイヤリングは俺に渡させてくれるのか、本体のフェルが義手と義足を取り付けてくれる。ペンダントから魔力が流れ、手足の感覚が戻ってきた。


「ほら、ペアイヤリング。お揃いのアクセサリーが良いって言ってたろ?」


 シンプルなルビーが付いたイヤリングを差し出す。顔を真っ赤に染め、何とも言えないといった感じの照れた表情でレオはイヤリングを1つ取った。残ったイヤリングを左耳に着ける。左だからな!俺は左に付けたからなっ!


「えっと……凄く嬉しい。な、なあ……似合う、か?」


 恥じらいながら、右耳にピアスを付けたレオ。その乙女な表情に、俺の心臓は激しく鼓動を打っていく。畜生……可愛すぎる! 心臓が痛い……毎回の事ながら、幸せだ……


「レイジ様が悶えているので、私から説明させていただきます。レオ、イヤリングの宝石を指で摘まんで貰えますか?」


「え? あ、ああ……こうか……って、何だコレ!?」


 レオが恐る恐る宝石部分を指で摘まむと、宝石が輝きを放っていく。そのままイヤリングは変形し、レオよりも大きな斧と化した。形状変化の魔法って凄いな……小指に乗りそうな程小さなイヤリングが、人間よりデカい斧に変化させれるなんて……


「レイジ様の提案で、レオのイヤリングは斧になる機能が付いています。私の魔法で頑丈(アンブレイカブル)が付いています。これもレイジ様とお揃いですね。元に戻す時は、刃の中心の宝石を指で叩いてください。耳に収まります」


「お揃い……エへへ……じゃないっ!なんでこんな機能付けたんだ?」


「いつもレオと戦う時に斧を使い捨ててる事が多かっただろ? その魔力が勿体ないなって、前から気になってたからな。これなら魔力は使わないで済むと思って……要らなかったか?」


 なんか俯いてるし……やっぱ、こんな物騒なプレゼントは駄目だったか……


「嬉しいに決まってんだろ! レイジ様ー!」


 頭にポンと軽い音を鳴らしながら、跳びかかってくる。あれ、半獣化ってそんな気軽に出来る物だったっけ!?


「おわああああっ!?」


 甘噛みしてきてる! 痛いっ……けど、喜んでくれてるなら良いか。

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