実はとても凄い事
今のうちに出来る仕事はやっておきたいのだが……
「駄目です。どうせ普段から私やレオがやっているんですから、領地に居るからって領主っぽく振舞わなくても良いんです」
うっ……そこまで言わなくても良いじゃないか。いや、俺が失言したのが悪いです……はい。と言うわけでフェルに膝枕をされて、頭を撫で続けられて30分は経過しようとしていた。何だかんだでフェルの膝枕って久しぶりな気がする。
「レイジ様は最近守護神獣のせいで戦い尽くめですから……ゼメルに着くまではゆっくりお休みください」
フェルは俺の事を心配してくれたのか。確かに戦えない体に鞭打って戦い過ぎたのかもな。散々怖い思いだってしたし、今は……休んだって良いよな。
「折角、属性と属性を合体させる魔法とか使えるようになったのになー……夢の世界限定だけど」
「あのような魔法は私がシェーン様から頂いた知識にも存在しません。完全にレイジ様が生み出した魔法です」
俺が生み出した魔法……? 属性と属性を組み合わせるなんて誰でも思い付きそうな事だと思ったんだけど……あっ、でも属性を複数持ってる事自体、相当珍しい事なんだっけ? そう考えると、天然3属性持ちのレオって相当凄いんだろうな。火と風だって言ってたし、風炎なら使えるかも……
「レイジ様、残念ながらレオには使う事が出来ません」
「えっ、嘘だろ? そんな難しい事じゃ無かったぞ?」
フェルが右の手のひらに火の球体、左の左の手のひらに風の球体を作り出す。この感じ……フェルが普段使う闘気じゃなくて、魔力で魔法を使ってるのか? フェルはそのまま、火と風を組み合わせようと近付けていく。
「あれ……? 火属性だけになっちまった?」
フェルが火と風を完全に組み合わせると、火の勢いが少し強くなっただけだった。おかしいな……もっと高温になるとか、炎が渦を巻いたりすると思ったんだけど……いや、これはもしかして……
「火属性しか残ってないのか?」
「はい、風属性は呑み込まれて消えています」
風炎は火属性が主属性なだけで、風属性の性質が副属性として残っているはずだ。けれどフェルの手の上の炎からは、火属性しか感じない。魔力じゃ駄目なのか……?
「実はレイジ様が寝ている間、現実世界で魔力、神力、闘気を使って調べてみたのです。結果は守護神獣からの道具を使用した時のみ発動出来ました」
そうか……守護神獣から道具を授かってるフェルのみが出来るのか……って、待てよ!?
「フェル、お前は確か夢の世界では4属性で放ってきたよな!?」
俺達はまだアプサラスに会った事ないのに、何故フェルは四属性合成撃を撃つ事が出来たんだ!?
「ああ、それはですね。私の中にはシェーン様から頂いた神核がありますので、他の守護神獣の神力を解析して限りなく水の守護神獣が持つ神力の性質に近付けたのです」
神力を解析して、限りなく性質を近付けるって……もうなんでも有りだな。この前は体も作り変えるとか言ってたし……もしかして、フェルはこの世の全ての生物になれるんじゃ……?
「…………確かに可能ですが、どうか致しました?」
この姿で本当に良かった! 美少女ってのが特に!
本日の余談
レイジ:「マジか……この世の全ての生物に……」
フェル「とは言え、人間として作られたんですし、この姿をレイジ様はお気に入りのようですからね。私もこの体に慣れてきましたし」