少しはやれたか……?
待てよ……? 吹き荒れる右脚は斬られてしまったが、風の力と癒しの性質はまだ使える。右脚の傷を塞ぎ、風に体を支えてもらう。まだ飛べるなら、まだ回復できるなら……もっともっと足掻く事が出来るはずだ!
「空を飛ぶなんて……少し信じられませんね」
大して驚いた表情には見えないが、フェルはそう言った。とは言え、呑気に自慢してる場合じゃない。フェルが振り下ろす太陽の剣を、身を捩りつつ風で体の位置をずらして躱す。雷光の脚に雷の盾を纏わせ、蹴りつける。フェルの雷光の盾ぶつかり、激しいスパークを放っていく。
「甘いですっ!」
「ぐっ!?」
盾で思いっきり突き飛ばされ、地面に無様に転がり落ちてしまう。地に足を着いてるフェルと宙に浮いてる俺とでは力に差がありすぎる……力には勝ち目が無いから当然と言えば、当然だけど……これで良い。これでフェルから距離を取れた!
「太陽閃光!」
「なっ!?」
右腕から放たれた太陽閃光は強烈な光を放ち、フェルの視界を奪った。その隙に斬り落とされた右脚を風で回収し、塞いだ傷口を無理矢理開いてから右脚をくっつける。癒しの風により右脚を治療し、五体満足な状態は取り戻す事が出来た。
「火属性は封じた筈ですが……?」
「別に火属性なんて言った覚えは無いぜ?」
フェルの姿がブレた瞬間、俺の腹部を大きな衝撃が貫き、大きく身体が折れ曲がり息が詰まる。やはり、フェルの動きは見えない……だったら……!
「雷風陣地!」
俺を中心として足元に強烈な旋風と雷が走り始める。俺も発動した中心から動けないが、触れればフェルでも動きが鈍るはずだ。
「くっ、ならば触れなければ良い事!」
雷風陣地から逃れようと、フェルは大きく空へと跳び上がる。その動きを待っていた!
「雷風炎……!」
右手に雷の球体、左手に風の球体を作り出す。それぞれを天照の炎の特性で攻撃に向けた性質に変化させていく。2つを組み合わせ手の中に風と雷が荒れ狂う球体を生みだした。
「合成砲撃!」
球体は撃ち出され、風と雷の奔流がフェルへと襲い掛かる。しかし、フェルは同じように手に風と雷の球体を作り出し、組み合わせてから更に水の球体を組み合わせた。その球体を太陽の剣に組み合わせ、4属性を宿した太陽の剣を構えた。
「嘘……だろ?」
「学ばせていただきました……四属性合成撃!」
俺の放った3属性の不完全な雷風炎合成砲撃は、フェルの放った完璧な一撃にかき消され、俺の体を呑み込んだ。4属性が組み合わされた攻撃は、俺の体を焼き尽くし、内側から引き裂かれていくような痛みを与えてきた。激痛の中、俺は静かに意識を失ってしまった。
本日の余談
レイジ:エレメンタルをパクられるなんて……
フェル:フォローしますと、神の加護を授かった私とレイジ様にしか出来ません