VS チートメイド
今回の夢の世界は白い空間では無かった。ショウと天照の2人と修行で使ったような闘技場の景色が広がっていた。観客席には見覚えのある……というか、数時間前まで会っていた守護神獣の3柱が巨大なソファに腰掛けていた。なんだアレ……ゼピュロスどうやって座ってるんだ?
(全く、我らも暇では無いのだが……)
(でもフェルさんからの呼び出しだと逆らえないんですよねえ)
(俺ニモ戦ワセロッ!)
全く、仕方ない……あの3柱の力を借りて、右手、右脚、左足に炎、風、雷を宿らせる。闘気が体に流れるのを感じた所で、薄い膜として体に張り付かせていく。これでフェルの読心は防げるはずだ。
「準備は良いでしょうか、レイジ様?」
異様な気配に顔を向ければ、フェルが其処に立っていた。いつものメイド服に、右手に太陽の剣、左手に雷光の盾、首に緑色のマフラーを巻いている。あれって多分、ゼピュロスからの加護が付いてるんだろうな……
「武器は不要でしょうか?」
「結局、手足が戦いやすいんだよ」
……異常な熱気、ここら一体が夕焼けのように赤く染まっていく。その原因はフェルの頭上で太陽のように燃え盛っていた。
「炎:球……さあ、どうします?」
これでファイアボール……!? 象だって簡単に呑み込めそうな程のサイズだぞ!? そんな太陽のようなファイアボールが俺に向かって降ってくる。サイズの割に速い……空に飛んで避けるのは駄目そうだ。空に飛ぶための風を火が呑み込んで燃え移る可能性が高い……なら、防ぐしかないか。
「嵐球!」
右足の甲の上に乱気流を包んだ風の球体を作り出し、吹き荒れる右脚で蹴り飛ばす。フェルの強大なファイアボールに比べたら、こっちの嵐球は貧弱に見えるだろう。現にフェルは驚いたような顔で、俺の嵐球を見ている。
「更に、守り抜け! 偉大なる雷の盾! 防ぎきれ! 雷光の脚の名の下に! 雷光電磁璧!」
嵐球は確かに、フェルのファイアボールを相殺した。が。ファイアボールが弾けて発生する衝撃波までは無効化出来ない。衝撃波は激しく砂を巻き上げ、土煙を纏い視界を奪っていく。
「風よ!」
風によって土煙を吹き飛ばし、即座に後ろに飛び退く。俺がいた場所に太陽の剣が突き刺さり、景色が闘技場から洞窟へと書き換えられる。これは、天の岩戸か!? アプサラス戦のように太陽の腕が闘気を生成するだけになってしまうし、雷風炎合成撃が封じられた……
「次は近接戦です」
太陽の剣と雷光の盾を構え、フェルが一気に距離を詰めてくる。クソッ……雷と風で、戦えばいいんだろ!?
本日の余談
レイジ:天の岩戸のおかげで、戦いの構想が練り直しです
フェル:だってレイジ様、明らかに火属性攻撃多いじゃないですか