どんな物にしようか……?
アグラにアクセサリーの件を伝えると、快く引き受けてくれた。となると、後は作ってもらうアクセサリーの種類を決めるだけ……って、そうだ。アグラに聞いてみたかった事があるんだ。
「アグラのアクセサリーって魔法の付与って可能か?」
「ん? ああ、出来るぜ」
それなら、俺が付けたい魔法を後でフェルに付けてもらおう。となると、どんなアクセサリが良いか……?
「レオ、どんなアクセサリが良い?」
「うぇっ! オ、オレに聞くのか!?」
そんな驚かれても……レオにプレゼントするんだから、レオに聞くに決まってるだろうに。顔を真っ赤にして口をパクパクとさせてから、俺へと抱きついてくる。ちょっ、車椅子が倒れっ!?
「レオ、落ち着きなさい。そういうのは家に帰ってからです」
フェルが指一本でレオを止めてくれたので、倒れる事は無かった。あんまり騒いでるとアグラの迷惑になってしまう……チラリとアグラの方を見ると、ニコニコと笑ってこっちを見ていた。
「前よりも楽しそうになったな。今回はそっちの黒髪のメイドさんにアクセサリーか?」
「ああ、レオもお揃いが良いらしくてさ。なんか似合いそうなの作ってくれないか?」
レオは動揺してて話にならないし、フェルは実用性を重視しちゃうし俺はファッションセンスが壊滅的だ。こうなったらアグラに頼むしかない。見た目からファッションセンス良い感じが滲み出てるし!
「俺に聞くのかよ! まあ……ブレスレットが良さそうだけど、レイジ男爵に腕が無いしなぁ」
あ……そうか。腕が無いとブレスレットって付けられないのか。俺だったら肩辺りに付ける事になるのか。流石にダサすぎる。と、なると……?
「イヤリングとかならどうだ? 片耳ずつ付ければ、料金も1セット分で済むしさ」
「いや、値段は気にしないけど……そうだな、ペアイヤリングなら俺でも付けれるか。レオ、どうだ?」
「えっ!? あっ……何だって?」
レオ……そんなに動揺しなくても良いだろうに。この様子だとどんなデザインが良いかとかも聞けそうに無いなぁ。喜んでくれるのは嬉しいんだけど、もっとレオの意見も反映したかったなぁ。
「そうだなぁ……デザインは俺に任せてくれるか? 出来上がったら、館に届けるからさ」
「じゃあ、任せた。ついでに聞きたいんだけど、夫婦石についての研究はどうだ?」
最近はティール工房からの報告書に目が通せなくて、俺は研究が進んだか分かっていない。研究を頼んでおいて途中報告を見る事が出来ていないから申し訳ないけど……
「夫婦石か……それが最近は研究に使う夫婦石が不足してるんだ」
「夫婦石が不足? そんなに取りにくい石なのか?」
「いや、そこまで珍しい石でも無いんだけど……山から夫石、海から妻石取ってきてを魔力で上手い具合にくっつけて夫婦石とするんだが、ゼメルから妻石が届かないんだ。おかげで夫石ばかり入荷しちまって、研究もストップしちまってる」
「……そうか」
ゼメル……か。何か起こっているのは間違いなさそうだ。とにかく、アクセサリーの件はアグラに頼むとして、一度館に戻って今後の予定を話し合うとするか。
本日の余談
レイジ:アグラは布系のアクセサリーも作れるのか?
アグラ:勿論だ!魔法使いや暗殺型近接戦士は重たい鎧じゃなくて、軽い布系の服を装備するからな。意外かもしれないけど、裁縫は得意だぜ
レイジ:……じゃあ、下着とかもか?
アグラ:…………まあ、作れるけど
レイジ:(……スギヤの街で下着を買うのは止めておこう。フェルにも命じておくか)
フェル:(レイジ様、もう履いています)
レイジ:(嘘だろっ!?)