3属性を1つに!
ゼピュロスは既にボロボロになりながらも、アプサラスの攻撃を耐えしのいでくれていた。体の所々が紫色に変色している……聞かなくても分かる。毒の性質に変化した水を受けてしまったのだろう。くっ……俺の指示のせいで……ゼピュロスに余計な怪我を……!
(俺ノ事気ニシテンジャネエ! 元ヨリ、アプサラス相手ニ無傷ナンテ都合ノ良イ事考エチャイネエヨ!)
一際、強い風でアプサラスを吹き飛ばし、ゼピュロスは俺を叱咤する。そうだ……強敵相手には俺も仲間も無傷で終わらせるなんて考えてはいけない。両手の剣を強く握り直せば、雷を宿した炎の竜巻がその勢いを増した。
「おおおおおおお!」
雄叫びを上げ、頭上で剣を激しくかち合わせる。雷は激しさを増し、風を空気を切り裂き、炎は轟々と唸り始める。これが、夢の世界でしか放つ事は出来ない! 今の俺の最大の一撃!
(炎よ、烈火となれ!)
天照の声に炎は紅く煌めいていく。呼応するように太陽の腕も赤く煌めき炎のように熱くなっていく。
(雷よ、迅雷となってください!)
トールの声に雷は黄色く輝いていく。雷光の脚も黄色く煌めき稲妻が走っていく。
(風ヨ、旋風トナリヤガレ!)
ゼピュロスの声に風は翠色に輝いていく。吹き荒れる右脚も翠に煌めき旋風を纏っていく。3柱からも力を借りた……決めて見せる!
「雷は水を貫き、風は雷を纏い、炎は風を呑み込み燃え盛る! 3属性融合、雷風炎合成撃!」
両手の剣を振り下ろせば、放電する炎の渦がアプサラスへと迫っていく。3つの属性を合わせた一撃は速いとは言えない。アプサラスに届く前に、鋼水の盾が貼られてしまう。けど……それで良い。いや、それが良い!
「喰らええええぇぇぇぇ!」
俺の放った炎雷風合成撃は鋼水に触れる瞬間だった。トールが俺やゼピュロス達の前に堅牢な雷の盾が貼られる。ナイスアシストだ。
(ギャアアアアア!)
俺の一撃が鋼水に触れた瞬間、熱気と水蒸気が凄まじい圧力と共に襲い掛かってくる。
(な、なんだ!? 何が起こった!?)
(オワッ、アッチィ!?)
危ない危ない……トールが盾を貼ってくれなきゃ間に合わなかった……俺も貼ろうとしたけど、3属性の一撃は疲れてしまった。けれど……
(ああ……熱い! 私が……この私が、熱い……!? それに痺れる……鋼水で、防いだはずなのに……!?)
アプサラスには確実に効いたようだ。体中が電気が走り、酷く焼け焦げている。それに、尾の端から徐々に黒く染まって崩れ落ちていく。もう、俺も限界に近いし剣もあの一撃に耐え切れずに、壊れてしまった。刀身が溶けてしまっている。まあ、
(たす……けて……)
アプサラスが消えていく。彼女の言葉……何か、嫌な予感がするな……
本日の余談
レイジ:雷風炎合成撃は漢字だけなら、《らいふうえん・ごうせいげき》って読むぞ
天照 :素晴らしい一撃だったな。あれは神にも通用するであろう。
レイジ:そうは言うけど……大分闘気を消耗するし、複数の守護神獣からの借り物が必要だから滅多に使えないし……使いたくないよ