代用品の代用品
隣に寝ていたレオに起こされ、俺は目を開いた。レオに体を起こしてもらい、周りを見渡す。フェルは義手と義足の代理品を用意してるのか……?
「レオ、義手と義足を頼む」
「あいよー……って何だこれ!?」
義手と義足を取りに行ったレオが何かを見て悲鳴を上げている。そのまま俺に飛びつき、ガタガタと震えている……変なものでもあったか?
「レオ、何があったんだ?」
「その……えっと……何というか……」
「おはようございます、レイジ様」
レオが言葉を濁していると、扉からフェルが入ってくる。手には何か書類……多分、今回のユリウス王の許可証だろう。なるほど、それを取りに行ってたのか……で、義手と義足は?
「はい、こちらに」
そう言って、フェルはレオが何かに怯えた場所から、義手と義足を取り出した……筈なんだけれど、フェルが手に持っているのは肌色の物体。人の腕、人の足……本物の?
「フェル……お前、まさか……!?」
「ご想像の通り、私が頂いた本物のレイジ様の手と足を義手と義足として改造しました。夫婦石のペンダントを使う事になりますが、海や砂でも充分に扱えます」
フェルが手と足を持って近付くき、義手と義足を取り付ける。胸元のペンダントから暖かい魔力が流れ込み、付けられた義手と義足に感覚が戻ってくる。うわっ、足に指がある……別に外での戦いだったら要らないんだけどな……
「……良いなー」
「レオ、どうかしたのか?」
「オレもレイジ様とお揃いのアクセサリー……欲しいなー」
レオの言葉に、俺とフェルはほぼ同時に苦悶の声を上げながら心臓を抑えた。普段は男勝りなくせに、こういう時だけ顔を赤らめて恥ずかしそうに言ってくるの……ズルい!
「ちょっ、レイジ様!? フェルも心臓を抑えて。そんなにオレがアクセサリを欲しがるのが可笑しいのかよ……」
「レオ、任せてください。絶対に、絶対に用意して見せます……私のチートの全てを使ってでも!」
「お前、目が怖えよ! というか、チートってなんだよ!」
フェルも同じ気持ちらしく、レオの手を取って目を見開いてジッと見ている。ただ見ているだけに見えて、チートな闘気を使って疑似的な千里眼を習得。レオのありとあらゆる体のサイズを測っている気がする……なんて奴だ。
「変な事言ったオレが悪かったけど、今はゼメルに急ぐぞ! ネルガが外に控えてるし、荷物は纏めてあるから!」
……本当にレオは優秀だなぁ。いや、フェルも凄い能力が高いけど、レオは気配りが上手いって感じだ。遊んでないで、着替えとかしてネルガの所に行くか。ゼメルも結構遠いみたいだし。さっさと筋肉車の中で寝よっと……筋肉車に違和感が無くなっている自分が悲しいなぁ。
本日の余談
フェル:チョーカーでしょうか? レオはともかく男性であるレイジ様には……ちょっと。となると、ブレスレット……レオならリストバンドとかも良いですね……
レオ :ブツブツ言ってないで手を……動かしてんだよなぁ、クソ!