今までとの違い
ヴァルトの問題を解決した俺達は、一度ハインリヒに戻って来ていた。色んな事があったけど、たった1日の事……だったんだよな。怒涛の展開で流石に疲れた……
「……困りましたね」
「何がだ?」
時間はまだまだ深夜と言った所で、俺は既に眠いんだけど……部屋のベッドでいつものネグリジェ姿のフェルと、可愛らしい猫がプリントされたパジャマを着たレオが本を開いて難しい表情をしていた。読んでる本のタイトルは……ゼメルについて? ゼメルって……確か、水の守護神獣がいる国だっけ?
「レイジ様がボーっとしている間にゼピュロス様に言われてさ。ゼメルについて調べてんだけどよ……」
「調べてみた限り、ゼメルは海の街なんです」
海の街か…潮風を浴びながら、キンキンに冷やした飲み物を一気飲み。暑い日差しを浴びながら、海に飛び込んで水をかき分けていく……疲れたら砂浜に上がって焼きそばやカレー、かき氷を食べる! 地球にいた頃は男友達だけだったけど、今はフェルとレオに……うっ、ネルガの水着を想像してしまった。絶対水着はブーメランだよ……だって似合うもん。
「レイジ様、自分の手足を見てみろ」
「あ……そうか……」
あまりにも馴染んでいたから忘れかけていたけど、俺の両手両足は代用品で水に弱いって……海?
「勿論、泳ぐ事は出来ません。というか、義手と義足を着けたままでは海に砂浜も怪しいです」
「え……なんで?」
「錆びるからに決まってんだろ! 今だって、執事とメイドが必死に土とか泥を拭き取ってくれてるんだぞ」
そうだよな。外見はしっかりした金属だし、中身は脳波を読み取ってくれる精密機械だった。海なんて行っても、手足無い状態と変わらない事に……って、凄いお荷物じゃ……?
「レイジ様が行きませんと、色々意味が無さそうですし……」
「ヘンジに頼んで、海用の義手とかって……」
「時間が無いだろ。今から開発してたら、それこそ魔王軍の奴らに先手を打たれちまう。フェルとオレ、それにネルガ、全員で行くしかないんじゃねえか?ゼメルは水だから……雷属性が来るんだろうな。俺もフェルも風は扱えるし、ネルガは魔力完全無効だから問題ない筈だ」
うーん……完全に動けない状態で、皆と動くのは嫌なんだけど……しょうがないのかな。そうなると、またユリウス王に許可証貰って……どうにか、義手と義足の代用品を用意しないとな。俺だけ戦えないのはもう嫌だ。
「……どうしてもと言うなら、手段が無いわけではありません」
「本当か!?」
「本当です。ですがそれは明日にしましょう。準備に時間がかかる訳ではありませんが……レオ、レイジ様を寝かせてください」
「あいよ」
レオにベッドで倒されてしまう。フェルの言う手段が気になるけど……今日も疲れたしな……
本日の余談
レイジ←黒のパジャマ
フェル←黒のネグリジェ(※透けてない)
レオ ←白を基調に猫のプリントのパジャマ
ネルガ←ブーメランパンツ一丁
パ ン ツ 一 丁 !!