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チートらしき姿

 フェルが指を鳴らせば、凄まじい風がサラマンドラを襲う。あの刀身を吹き消し、サラマンドラ自身まで吹き飛ばした。嘘だろ……火属性を風属性で……?


「クカカ……拙者の火属性を風属性で打ち負かすなど、到底できる事では無いぞ」


「レイジ様が風属性で戦っていましたので、私も風属性で戦おうかと」


「それはつまらん。全力で来い」


「貴方の指図は受けません」


 フェルの心無い返事に、サラマンドラは忌々しげに舌打ちをしながら俺を睨んでくる。しかし、直ぐにサラマンドラの体は宙を舞った。俺への視線に気づいたフェルが瞬間移動のように間合いを詰め、華麗なアッパーカットで数メートルは打ち上げた。


「レオ、レイジ様を下げなさい!」


「あ、ああ……分かった!」


 フェルの指示によって、戦いの場の中央に放置されていた俺がレオに回収される。義手と義足が電池切れでゴトリと音を立てながら落ちていくが、ふわりと浮いて俺の体に付いてくる。レオが魔法で回収してくれたんだろう。


「炎刃、砲閃火!」


 サラマンドラの剣が紅く輝き、炎の光線を放出させる。これは……避けたり逸らしたりすれば、森が一気に焼け野原になるほど高密度の炎の魔力!? フェル、どうにか真正面から叩き潰してくれ!


「かしこまりました……太陽の剣よ……世界を閉じよ、天の岩戸!」


 フェルが太陽の剣を呼び出し地面に突き刺すと、辺りの景色が洞窟へと変化していく。完全な洞窟へと変貌すると、サラマンドラの炎の光線が音も無く煙のように消える。ここは……ヤパンの天の岩戸……なのか?


「なんと……ヤパンの天の岩戸ではないか!? しかし、ヴァルトの森の気配も感じるような……?」


「天の岩戸をご存知なのですね。ここは私が作り出した天の岩戸を模した結界。私の闘気と私の記憶が作り出す特殊結界。その効力は……」


 サラマンドラが何かに気付いた表情を見せる。そのサラマンドラの手にある剣に変化が起きている。今まで大技を使おうと絶える事の無かった炎が消え去り、只の剣に戻っていた。


「誰であろうと、この結界内で火を灯す事は出来ません。術者である私でさえ、この結界では小さな火花すら発生させる事は出来ない」


 炎を一切使えないって……凄い事を言ってるんじゃ? この世界では殆どの人間が属性は1つしかないらしい。それなのにその属性の根本を封じるって……チート過ぎる、って、フェルはチートだったな。


「今のはヤパンの守護神獣、天照様の加護。そしてこちらはハインリヒのトール様から授けられた加護、雷光の盾!」


 フェルは左腕に雷を集中させ、黄色く眩しい輝きを放つ金属のひし形の盾を装着した。よく見れば太陽の剣の様に、雷の模様が薄く走っている。何時の間にトールから加護を……


「拙者の心で燃え上る闘争の炎は消せぬようだな。レイジ、貴様の最後の武器には感服する。拙者が挑戦者側になるとはな……女従者よ、最後の武術勝負。受けてもらおうか」


「……フェル、頼んだ」


「お任せください。私が貴方に、勝利を捧げます」

本日の余談


レイジ:太陽の剣で逆に炎を封じるなんてな……


フェル:ヴァルトの森を守るために編み出しました


レイジ:簡単に言ってるけど、凄い事だからな?

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