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覚悟を決めよ

 レオの投げナイフを風属性でサポートしようと思ったが、操る風が熱すぎて上手く操れない。むしろ体の周りの風が熱くなりすぎて、体全てが灼けるような感覚に襲われる。思わず膝を付き、音を立ててしまう。


「何奴!?」


「クソッ!」


 俺の立てた物音に、トカゲ侍は反応する。レオが焦りながら、ナイフを投擲する。片方は甲高い金属音とともにトカゲ侍に弾かれ、もう片方はローブを着た何かの額に命中した。熱さが弱まる感覚、やっぱりローブの奴は属性結界の術者だった。


「横槍とは無粋な!」


 トカゲ侍の口から巨大な火球が吐き出される。ハンドガンを向け、容赦なく引き金を引く。銃口から水の光線が放たれ、激しい蒸発音と煙を立てながら火球を消していく。その隙を突いて、レオがもう1本ナイフを投げつける。もう1人のローブに突き刺さり、倒れさせる。熱気は完全に消え去り、操れそうな良い空気が戻ってくる。


「ゼピュロス! 大丈夫か!?」


(オ前……イヤ、助ケラレタナ。アリガトヨ)


 ゼピュロスの方へ駆け寄ると、感謝の声が頭に響いてくる。属性結界に苦しめられていたのか……でも、属性結界は打ち砕いた。レオも居れば、充分戦える。


「うむ……横槍は許せぬが、属性結界に居る拙者の炎を打ち破る水の魔法は見事であった。少年よ、名を名乗れ」


 かけられた声に、剣とハンドガンを構えて向き直る。改めてみれば侍のような格好に爬虫類のような鱗、鋭い牙に爬虫類独特の眼……トカゲ侍が俺を見ていた。


「簡単に名前を教える筈が無いだろ。自分から名乗ったらどうだ?」


「少年の言う通りだな。拙者の名はサラマンドラ。種族は竜人、オルクス四天王の1人である」


 この喋り方……馬鹿正直に名乗る感じ……もう地球じゃ絶滅したってレベルの存在。見た目だけじゃなくて中身まで侍なのか。名乗らせておいて俺が名乗らなかったら、こっちが悪役みたいだ。


「俺はレイジ・スギヤ。種族は見ての通り人間だ」


 ……サラマンドラからなら、上手くいけば情報が聞き出せそうだ。オルクスの情報が引き出せるんじゃないのか? 聞いてみる価値はありそうだ。


「サラマンドラ、なんでヴァルトを襲ったんだ?」


「教えてやっても良いのだが……拙者も此度の軍の総大将故、戦の場にて談笑を愉しんでは示しがつかぬ」


 当然だな……だが、コイツがオルクス軍のリーダーか。上手く行けばオルクス軍を撤退させられるか?


「提案がある……拙者と貴様で一騎討ちはどうだ?貴様が勝てば軍を退き、問いにも答えよう」


「一騎討ち……か?」


「左様。其方の神獣では強さが足りぬ。其方の獣では恐怖が足りぬ。貴様だけだ……貴様だけが強く、小賢しく、怯えている。さあ、どうする?」


 ゼピュロスはダメージを負っていて、全力は難しそうだ……確かに強さが足りない。レオは無茶をし過ぎる……確かに未知への恐怖が足りない……俺が行くしかないのか?


「レイジ様、罠に決まってる! 全員で戦えば、勝てるはずだ!」


「勝てるだろうな、拙者には。しかし、残りの軍はどうするのだ?」


 ここで一騎打ちに持ち込んだ方が、レオという戦力を温存できる。最悪な事態は切り札を出す前に、俺が死ぬ事……か。だったら……


「その一騎討ち、受けさせてもらう!」


 俺が……やってやる!

本日の余談


レイジ:竜人か……どんな種族なんだ?


サラマ:うむ、竜人は火属性しか居ない亜人だ。故にヤパンの火山にて暮らしている。拙者は強さを追い求め、里を出たがな。


レイジ:天照の地域からか……まあ、古風な喋り方だもんな。

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