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戦いの始まり

 隠れ家に到着したらしく、地面に投げ捨てられて目が覚めた。意識がはっきりとする前に、誰かがのしかかってくる。顔に荒い鼻息がかかって生暖かい。瞼を開ければ、レオが触れ合いそうな程に顔を近付けていた。


「なぁ……もう良いよな? オレ、我慢しなくて良いんだよな?」


「ああ、何でも言ってくれ」


 俺の言葉にレオは我慢が出来なくなったらしく、首筋に鼻を押し当てる。匂いを嗅いでいくレオを抱きしめる。少しビクッと反応したが、直ぐに嗅ぐのを再開した。お互いに汗だくで、俺達の間に熱気が籠るのを感じる。けれど、不快ではない……頭がボーっとしてくる。


「頭撫でてくれ……」


 匂いを嗅ぐのを止め、レオは小さく呟いた。言われた通りに撫でようと手を離すと、レオが俺に背中に手を回す。頭を撫でてやると、首筋に歯が当てられる。軽く力が込められ、甘噛みされる。なんか……理性が溶かされていくような……


「今日だけは、このまま……」


 レオが何かを我慢できないように、俺もなんか我慢できない……駄目だ。視界がぼやける、頭にモヤがかかる、理性が奪われる……



 喉の渇きに睡眠を妨害される。体を起こすと、隣ではレオが俺から毛布を剥ぎ取って寝ている。水って何処にあるんだろ……夜行性の獣人とか居るかな? 最悪、ヘンジの研究所でヘンジを叩き起こして案内させよう。というか、ヘンジは寝る必要も無さそうだし。


(水場カ? 案内シテヤルゼ、コッチダ)


「ああ、ありがとう……って、ゼピュロス!?」


 隠れ家を出てフラフラと歩いていると、頭の中に声が響いてきた。目の前に見覚えのある巨大な昆虫が現れ、右脚が騒めき始める。吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)が勝手に癒しの風を供給して、俺の体の些細な疲労感が消えていく。


(オ前、結構無茶シヤガッテ……オ前ガ戦ウ必要ハ無イッテ言ッタロ?)


「そうだけどさ……勇者候補とか聞かされて、凄い怖くなって……とにかく体を動かして振り払いたくなったんだよ。それに、国のかなり近くまで敵が来ている痕跡が見えたし」


(安心シロッテ! オ前ガ居レバ、俺ダッテ全力デ戦エル。負傷者サエ守ッテクレレバ、守護神獣ノ名ニ恥ジナイ戦イヲ見セテヤルゼ!)


 そうだよな……戦うのは守護神獣のゼピュロスだもんな。天照もトールも方向性は違くとも、凄まじい強さだった。ゼピュロスが戦いに専念できるように、俺も頑張ろう。


「ところで、ゼピュロスはこんな時間に起きてるのか?」


 守護神獣でも睡眠が必要なのは、天照で分かってる。狼と昆虫じゃ生活が違うのかもしれないけど……それでも昆虫よりも知能が遥かに高いし、夜は寝る必要があると思う。


(昼ニ寝タカラナ。此処ハ夜行性ノ連中ハ少ナイ。ダカラ、夜中ハ俺自ラガ見回リッテ訳ダ)


「そうなのか……っ!?」


 突然、森の何処かからか、火柱が上がった。これって……夜襲!? 魔王軍の奴らか!?


(オイ、一応武器トカ取ッテ来イ! 俺ハ火柱ノ元ニ向カウ。オ前ハ此処ヲ防衛ダ、任セタゾ!)


 ゼピュロスは俺に指示を飛ばすと、風を纏い大空へと飛んで行った。ヴァルトの獣人達は困惑しながらも寝ている者を起こしたり、松明で明かりを増やしたりと出来る事を行っている。俺に出来る事は、ヴァルトを守る事だ。

本日の余談


レイジ:サブタイトル『戦いの始まり(二つの意味で)』……1つは魔王軍の襲撃だけど、もう1つは?


レオ :そりゃ、お前。オレとレイジ様の熱い戦い(意味深)だろ


レイジ:止めて! 言わないで!

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