VS半獣メイド+ライオン×3
右手を振り払い、強烈な風の壁でライオンの爪に対抗する。正面はこれで良い、問題は横の2頭と後ろから確実に迫るレオだ。まずは風の力で空へと飛び上がる。そのまま振り向きながらレオとの距離を取る。ライオン達は高く飛べなかった。これでレオへの対処に集中できる。
「ウィンドカッター!」
レオが腕を縦に振り下ろしてきた。嵐球で何とか出来る魔法じゃない……瞬間的に体を支える風を止め、体を落下させる。頭上を鋭い風が通り抜け、髪の毛が何本か斬られた。直ぐに風に体を支えてもらい、レオの方へと向かって行く。
「空気銃!」
右手を突き出し、空気を面で押し出す。威力は大して無いがレオは大きく体勢を崩し、数メートルは吹っ飛んだ。今のうちに地上の3頭を相手にするって……1頭が上空に!?
「空気の壁!」
風で空気を集めて固める。1秒しか保てないけど、咄嗟の盾としては充分だ。足元を確認すると、2頭のライオンの背中に踏まれた跡が見える。なるほどな、知能を得た獣は恐ろしい……
「竜巻の鎧!」
周囲に竜巻を発生させ、その内側で着地する。災害レベルの風を操っても問題ない……火属性の魔法で呑み込まれるのは辛いけど、嵐球なら対応できる。今はこれで……
「油断してんじゃねええええええ!」
「なっ!?」
竜巻の頂点から飛び込んできた!? どうやってこんな高さまで……いや、そんな事よりも!
「だったら! 風機関銃蹴!」
吹き荒れる右脚に風を纏わせ、目にも止まらぬ連続蹴りを浴びせる。初めは腕で捌かれていたが、風を纏った加速する蹴りに追いつけずに腹部にまともに入った。白目を剥きながら竜巻の鎧からレオは弾き出される。
「お前ら3頭だけじゃ竜巻の鎧を破る事は出来ない。レオにも一撃入れた……これで終わりで良いだろ?」
3頭は竜巻の鎧にたじろぎ、レオも倒れたまま起き上がって来ない。あー……疲れた……最初は全然対応できなくて、頭を甘噛みされるし、義手と義足が壊れかけるし、レオが急に乱入してくるし、レオは意地悪して火属性を使ってくるし…………
「ああ、これくらいで良いだろ。3人とも、戻って良いぞ」
3頭が人間の姿が戻っても、俺は竜巻の鎧を解除しない。レオが起き上がり半獣化を解いたところで……やっと解除した。さっきシシリーがいきなり獣人の姿に戻り、俺に降参した……と、告げた瞬間に抱きしめられ、背中に不意打ちを受けた。油断してる俺が悪いらしいが……人間不信になったらどうしてくれるんだ!
「お疲れ様でーす!」
「……本当に終わりで良いんだよな? もう不意打ちしないよな?」
「アッハハハ、気にしてるねぇ」
「本当に終わりっすよー」
良かった……これで不意打ちを受けたら腰のハンドガンを抜くまである。むしろ、さっきまで縛りを受けていた剣を2本とも、怒りのままに振り回しそうだ……風を操れる分なんでも斬るぞー……
……結局、俺は剣を握りしめたままヴァルトに帰る事になってしまった。だって怖いんだよ……
本日の省かれシーン
レイジ :もう大丈夫だよな……? 俺、襲われないよな……?
レオ :大丈夫だって!
シシリー:何か、申し訳ないですねー
ライ :笑えるっすー
テーラ :戦ってる時はマシだけど、急にダサいわねぇ