食事の準備
レオが用意した革ベルトで背中に2本の剣を付ける。ハンドガンはレオに持って来てもらったフェル特性のホルダーに。そして弾倉は新しく作ってもらった太腿の弾倉ホルダーに詰め込む……恰好が完全にゲリラ兵みたいだけど、コートは森での戦いには不向きだし……いつもの衣装も変えるか。もう手足隠す必要も無いしな。
「姐さん、ただいま戻りました!」
少しすると、シシリーに似たライオンの獣人2人が隠れ家に入ってきた。金髪ロングの子は鹿を、サイドテールの子が馬を担いでいる。え……まさか、アレがご飯?
「へー、アンタがレオ姐さんの雇い主か」
金髪ロングの方が肉食獣のような目を……肉食獣じゃん。金髪サイドテールの子の方が俺の隣にドサリと座り込む。笑顔だけど、口元に紅い何かが付いてて怖いんだけど。
「アタシ、テーラっす。お兄さん名前は?」
「レ、レイジだ」
「ふうん、変わった名前だねえ……どれ」
「ひっ!? な、何を!?」
反対側にロングの子が座り、俺の頬のザラリとした感触が……え、何? ご飯になるの俺!?
「ライ、顔に血が付いたままだぞ。洗ってこい! テーラ、シシリー呼んで来い。多分研究所いるから」
捕食的な意味で味見されそうな状況でレオが助け舟を出してくれた。2人はさっさと隠れ家の外へと向かって行く。初対面の人が多すぎて、自分の名前で噛んじゃったよ……
「オレの友人が悪いな」
「いやいや、驚きはしたけど……受け入れてる感じがして嬉しいよ?」
「そう言ってもらえると、ありがたいな。ヴァルトの獣人は好奇心旺盛だからな。滅多に会えない人間に興味津々なんだよ」
焚き火の火が少し強く燃え上がる。レオは鹿の肉を解体し始めている。人間に滅多に会えない……
結界もあるしな。それで舐められるとは思わなかったけど。
「ちょっと待ってろ、直ぐに用意するからな。ハインリヒじゃ中々食べれない鹿と馬の肉だ。人間向けの味付けも任せてくれ!」
「レオの手料理は初めてだな、楽しみだ」
レオの自信が解体の手際の良さに出ている。サバイバルナイフでスイスイと鹿を捌いている。鹿と馬か……地球でも食べた事なかったし、いつかは食べてみたいと密かに狙っていたんだけど……楽しみだなぁ…………人間向けの味付けって言葉が凄い不安だけど。
「洗って来たっすー! ついでに水も汲んできたっすよー!」
「おっ、サンキュー。ライ、馬の解体始めといてくれ」
「了解っすー」
ライと呼ばれたサイドテールの子は自身の爪で馬を解体し始める。血が飛び跳ね、返り血がライにかかっていく。獣人の爪、凄いな……身体強化をしていないのに馬を楽々解体していく……あっ、馬刺しとか……調味料無いか。黙って待っとこう。
本日の省かれシーン
レイジ:生肉……
ライ :おっ、食べてみるっす?
レオ :駄目に決まってんだろ!