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勇者候補の苦悩

 伝説の勇者……って、何で俺が?


「右腕に火を、左腕に水を、右脚に風を、左足に雷を宿す者。勇者の資格を手に入れるだろう……っていう御伽噺があるんだよね。最近は資格無しで魔王を封印した勇者がいたから、忘れられてたんだけどね」


「ネルガのおっさんの事だな」


 確かにネルガならやりかねない……というか、先代の勇者がまだまだ現役なんだけど。それに今は風の右脚とやらしか持ってないし、正確には宿してるんじゃなくて借りてるんだけど……


「昔の言い伝えだし、多少の違いはあるだろうけれど……今の所、勇者候補は君だろうね。だからゼピュロス様も迷う事無く君を連れてきたんだ」


「そんな事言われたって……俺には何か出来ると思えないし」


「そう深く考えなくても良いんだ。今回において君が勇者であるかなんて関係ないよ」


 今回は吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)での撤退支援と防衛で戦う事がメインじゃないもんな。突然、勇者だ何だって言われたって……理解も納得も出来ない。状況は分かったけど、何か……言葉に出来ないけど……嫌だな。


「そう言えばいつものメイドちゃんは居ないけど、どうかしたのかい?」


「フェルの事か? アイツなら、今はハインリヒで様子見だ。何かあれば、アイツなら結界なんて関係なだろ」


「え……結界無視できる人間ですか……?」


「安心しろ、シシリー。味方確定だし、強さで言ったらゼピュロス様と並ぶ程だ」


「えええええっ!? あのゼピュロス様とですか!? 姐さん……どんな人と知り合いなんですか……」


 襲撃は確か……2~3日後か。何が起こるか分からないし、色々練習しておかないと……


「…………」



 

 ヘンジの研究所を離れ、俺はヴァルト付近の森に来ていた。所々に焼け焦げた跡が見られる。こんな所まで敵が迫ってきたという事か。ゼピュロスは俺を戦わせる気は無いと言っていたけど、ここまで来たら俺も戦うしかない。


「どーしたんだよ? ウジウジしやがって、らしくもねえ」


「レオ……」


 頼れるメイドの声に俺は振り向く。露出の多い服装に目線を逸らし、彼女の名前を呼んだ。


「オレ達ヴァルトの住人はよぉ……そうやって何かあると、暴れて発散するんだよ。かかってこいよ!」


 身の丈より大きな斧をレオは取り出した。そうだな……吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)にも慣れなきゃいけない……だったら、1人で変に考え事するよりも、誰かと体動かした方が良いよな。妙にモヤモヤするし……レオの言葉に甘えるとしようか。


「ほら、模擬戦と行こうぜ? レイジ様よぉ!」


 半身に構え、重心を落とす……吹き荒れる右脚(ゲイルレッグ)に意識を集中させ、自身の体を中心に風を渦巻かせる。今俺に出来る事を見つけてやる。


「行くぜ、レオ!」


「応っ!」

本日の省かれシーン


ヘ:あれ、レイジは?


レ:クンクン……あっちだな


シ:スンスン……人間の方向って分かりやすいですね


ヘ:(プライバシーもあったもんじゃないな……)

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