完全に合流
レオは俺に縋るようにしがみついてくる。俺は風の浮遊魔法(仮)を解除してレオを抱き返す。
「無事なんだな!? 怪我は無いな!? 良かった……」
段々とレオの声が震えていく……こんな遠いところまで急いで駆けつけてくれたのか。怪我はしてないみたいだけど、至る所に埃とか木の葉が……って、レオの頭に猫耳らしき物が……こんな髪形だっけ? こんな使い方するのもゼピュロスに申し訳ないけど、エアーブラシみたいに指先から風を出して……
「ひゃんっ!? ななな、なんだ今の風!?」
「あれっ!? この耳本物!?」
レオの思わぬ反応に、こっちが驚いてしまう。そう言えば、レオは獣人のクォーターって……普段は隠してるみたいだけど、ここでは出してるんだ。
「イチャイチャしてるのも良いけれど、状況を整理しないか? ほら、椅子に座って。そこの娘もおいで」
ヘンジの言葉にハッと我に返る。そうだ、俺がここに追いついてから、レオがここに来るまで早すぎるような気がしなくもない。
俺とレオ、机を挟んでヘンジと……さっき治療したライオンの獣人、シシリーって名前だったはず。レオと知り合いなのかな?
「私の名前はヘンジ。本業は科学者で、ここでは医者の真似事をしているよ。普段はヤパンに住んでいてレイジとは面識がある。そこのシシリーもちょくちょく怪我して私の治療を受けているから……始めましてはレオ、だけだね?」
こういう時に仕切れる奴って凄いよなぁ。俺だったら最初に発言するなんて絶対無理。フェルに任せて話聞いてるだけに専念する事も多いし……というか、最近はまともな人と関わってなかったし。
「ウチ、シシリーです! 姐さんとは友人って感じで、ヘンジさんとは知り合いって感じですかね。レイジさん、よろしくお願いますね!」
シシリーさんが差し出してきた手をしっかりと握り返す。金髪の天然ショートに似合う明るい性格だな。でも、レオにこんな知り合いがいるなんて予想外だなぁ。レオってあんまり昔の事話してくれないし……
「オレはレオだ。ここの国出身で今はレイジ様の従者だ。フェルから話は聞いてるぜ……あんま信用ならない変人だってな」
フェルの奴……ヘンジの事をどう説明してるんだ。確かに変人ではあるけど、俺にとっては結構な恩人で……って、なんか視線が集まってる?
「レイジさんの事も、聞いていいですか?」
「そういう事ね……俺はレイジ……です。えーと、ハインリヒの貴族みたいなもので、というか、人間です」
なんて変な自己紹介をしちまったんだ!? シシリーさんも苦笑いだし、ヘンジとレオも顔を背けて笑ってやがる……なんか調子が悪いというか、いつもと違う気がするんだよな……
「さーて……面白い自己紹介が終わった所で、レオにヴァルトの現状を説明しようか。レイジ君とシシリーも詳しい事情を知っておくと良い」
詳しい事情……か。確かにゼピュロスから簡単な説明しかされてないし、レオと一緒に聞いてみるとするか。俺が連れてこられたの理由とか……分かるかもしれないし。
オレがレオ
逆から読んでも、オレがレオ(くだらない)