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スタート メイド編

 またレイジ様が攫われた……のですが、私は落ち着いていた。別にレイジ様は気絶させられていないし、居場所は何となく分かっている。それに攫った相手も特定できましたね。

 透き通るような半透明な翅、細いながら頑丈そうでレイジ様を余裕で抱えた脚。天照様やトール様のような念話と、ヘルのように荒々しく邪悪であるけれど神性を纏っていました。


「……方角的にも……やはり、亜人の国ヴァルトですね。風の守護神獣ゼピュロス様ですね。亜人関係となると……やはり、レオでしょうね」



 部屋に入ると、洗剤の独特な臭いに顔をしかめてしまいます。家事が出来るとは言え、臭いに慣れているわけでは無い。時計は10時である事を告げています。この時間ならレオは洗濯を……していますね。


「レオ、少々宜しいでしょうか?」


 服を洗う手を止め、レオはこちらへと振り向きました。仕事を遮られ不機嫌そうに口を歪めています。


「フェルか? レイジ様はどうした?」


「攫われました」


「そうかー、攫われたか」


 雑に返事を返しながら、洗濯へと戻ってしまいました。やはりレオも、レイジ様が攫われることに……


「攫われたぁ!? 誰に!? 何時!? 何処でぇ!」


 慣れていませんでしたね。目に涙を溜めながら、私に縋り付いてきます。事実だけ知ればこうなりますよね……とりあえず、落ち着かせるために額にチョップを当てれば、打たれた箇所を抑えながら地面をのたうち回る。


「いってぇぇぇぇえええ!」


「落ち着きましたか?」


「バッチリな……で、レイジ様が攫われたって?」


 少し涙目になりながらもですが、冷静さは取り戻してくれたようですね。

 レオもレイジ様に恋してから仕事への集中するようになりましたが、レイジ様関係になると少しの事でとても取り乱す様になってしまいましたね……昨日もレイジ様の体の状態を伝えただけで涙目でしたし。


「先ほど、私の目の前で連れ去られたのです」


「おいおい、あの負傷だぞ!? まだまだ治りきってないんだし、つーかなんでそんなに冷静なんだよ!?」


「攫ったのが風の守護神らしき姿だったからです。巨大な昆虫の姿は風の守護神ゼピュロス……亜人の国ヴァルト……」


「ヴァルト? あー……そういう事か……」


 私の言葉に何かを察すると、レオは気まずそうに頭を掻きました。やはり……


「知識だけならあります。ヴァルトには人だけでは辿り着けない結界があると……レオならどうかと思ったのですが?」


「確かにオレならあの国には辿り着ける……けど」


 少しの間、レオは目を動かし続けていましたが……深呼吸をすると私の目をしっかりと見据えました。


「オレ1人に任せてくれないか?」


「はい、お任せしました。それでは」


 妙に緊張していると思いましたが、そういう事でしたか。こっちとしては元々そのつもりでしたから、問題はありませんね。


「…………へ、良いの?」


「定期的に念話で連絡だけお願いします。私はネルガに報告した後にレオの仕事のフォローに入りますから、準備してください。あっ、屋敷を出る時は念話で一声かけてください」


「そ、そんなちょっくら外出行ってくるみたいなノリで良いのかよ!? お前にとっても大切な主だろ!?」


 なるほど……確かにレイジ様が心配ではありますが……


「今回に関しては私は行かない方が良いのです」


「なんで……あっ、そうか。太陽の剣か」


 私の太陽の剣は風属性に有利すぎる。特に森では燃え移る危険性を考えて、太陽の剣は使えません。

 それに、風の守護神獣は口こそ悪かったですが……

えっ!? フェルさんお休みですか!?←

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