威厳無き守護神獣
頭の中にお淑やかな雰囲気の声が響いてくる……雷の鳥が静かに消えていった。一体……何が起こったんだ?周りを見渡しても、目に見える範囲には何も映らない白い空間が続いているだけだ。
声が響いてくる感じ……天照に似てるけど、声の感じが違う。どこかの守護神獣だろうか?
「レイジ様、頭上です。声の正体らしき反応がゆっくりと舞い降りてきます」
(そう、警戒しないでください。今そちらに参ります)
上を見上げると、青い点のようなものが徐々に降りてくる。一応、ハンドガンで狙いだけつけておくとして…………うん、通常弾だし今から撃ってみるか!
(えっ!? い、いや、今から降りますから!)
さっきの鳥は1発も撃つことなく終わっちゃったし、人が寝てるのに夢の世界を造り上げて戦わせてくるし、のんびり上から降りてくるし……撃っても良いよね!
「かしこまりました。風属性の魔法で補正致します」
(……分かりました。撃てばいいですよ)
フェルが補正をしてくれるならば、狙いは甘くても大丈夫だ。青い点を狙って引き金を引く。反動は少なく、音も大きくない。弾丸は見えないほどに速い。
ヘンジの奴、なんてもの作るんだ……声の主は大丈夫か?
(最初から心配するなら撃たないでください……)
青い点は大きくなり、俺の目の前に降りてきた。人より大きな青い鳥が電気の球体を纏っている……これで弾丸を防いだのだろうか? 道理であっさり撃たせてくれたのか。
(凄い武器ですね、電気のバリアを突き破るかと思いました。魔力を使っていないので、いつ攻撃が来るのか分かりません。恐ろしいですね……)
青い鳥は着地すると、電気の球体を消し去る。地面にコロコロと転がる弾丸。コイツ、電気であの速度の弾丸を防ぎ切ったのか……属性で魔法の宿っていない弾丸を……?
「レイジ様、この方の雷から神聖さを感じます……もしかしてこの方は?」
(私の名前はトール。ハインリヒの守護神獣だったりします)
「ふーん」
「そうですか」
(反応薄くないですか!? この世界の主神のシェーン様の次に偉いんですよ!? 守護神獣っていうのは!!)
そうは言うけど、どこかの守護神獣は酒で酔いつぶれるし、力の貸し方に威厳感じないし……
(そうだった……この人、天照さんに興味持たれてた……)
◆
(ックシュ! ヘックシュ! ……誰か我の噂をしてるのか?)
「ヤパンはいつでも天照様の噂してますよ~」
(む、それもそうだな)
◆
(あれは例外です! 本来、守護神獣というのは……火は駄目だし、水は呑気だし、風はアレだし……あれ?守護神獣って私以外、ヤバいかも……?)
トールさんも苦労してるんだな……というか、守護神獣ってそんなに偉いのか? 天照のせいでそう見えないんだけど……いや、まずシェーンが凄く見えないもんな。
ハンドガンを腰に収めて、フェルに手で待つように指示する。まずはトールさんの話を聞かないと。
(あ、すいません)
話聞いてから、ボコらないとな。
(ヒイィ!?)
今回の省かれシーン
天:カガミ、酒を……
カ:駄目です。今からご飯ですよ~
天:頼む!一生のお願いを使う!
カ:天照様、死なないから一生じゃないですよね~
天:うぐぐっ……!
カ:あんまり我儘言うと。玉ねぎ食べさせますからね~
天:そ、それは勘弁だ!死なぬから、正に死ぬ程の痛みなのだ!