愚者達のエピローグ
轟音と共に消し飛んだのは、確かロメロ騎士団、だったか。半ば現実逃避気味に、フリード14世は考えた。魔法付与のされた重装騎兵隊は、東方三国においてキャスキット部隊に匹敵する最強の部隊だ。それが、ただの轟音のひとつで消し飛んだ。
「て、撤退だ!」
今更貴族や同盟国の王族達が騒ぎ出し、こぞって逃げ出そうとする。が、すぐに背後から轟音が響いて声は消える。諦めずにまだ突撃しているものもいるが、それらも轟音と共に消滅していく。直に、自分も仲間入りするだろう。
「な、何だ」
この会戦のために集まった虎の子のキャスキット部隊はその破壊力を発揮する間もなく粉塵と化し、その他の歴戦の騎士団も寄せ集めの歩兵隊も肉片と化した。
「何なのだ、貴様らは……」
一体、どこで間違った? 頭の中はその問いで一杯だった。
「何なのだ、貴様らは!」
いや、彼らを 『開拓民の末裔』、『魔物と戦う蛮族』 と侮ったのが、全ての間違いなのだろう。
気付いた時には、轟音と共に意識が薄れていった。
本文中述べられるか怪しい用語の解説
・キャスキット
この世界独特の武器。黎明期のものは「槍であり、杖であり、銃である」をコンセプトに作られていたため長く重いものだったが、最近の西方大陸では魔導技術の発展から小型化が進んでいる。
筆者的には38式歩兵銃を参考にしています。