5.変態お兄様
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あぁ、連行される囚人の気持ちがとても理解出来た。しかもまだ鞭、買えてない。勢いでおしきられてしまったよ。
「ここが騎士団の本部だ。出来るだけ他の人に見つからないようにな。」
「あ、はい。お兄様といる姿なんて恥ずかしくて他人には見せられませんものね?」
「え、アルカディア……。そんなにも私の事を。」
も、もう話さないでおこうかな。いちいち曲解されるなんて。
「この五頭の馬から選んでほしいのだが、どれがいい?」
さすが国の機関の馬。毛並みがつやつやして美しい。やはり、ドSとしてはこの真ん中にある黒馬を選ぶべきでしょう。
「この馬にいたします。」
「アレクトラか。アルカディアと名前が似てるから、私も訓練の時は大体この馬に乗っている。」
その理由何よ。確かに似てるけど。しかし、これどうやって乗ろう。前世に乗馬をした事はあるけれど今はスカートを履いているからなぁ。
ん、デジャヴが。これ、ゲーム内での乗馬イベントじゃない。お兄様がヒロインを抱えるとそこに第二王子が来ると言うものだったはず! ここは私が一人で乗らなくては。
「よいしょっと!!」
あぶみに足をかけて、と。良かった、上手く乗れた~。お兄様とロレンスが顔を赤くしている所を見ると、スカートの中が見えてしまったかしら。あまり気にしないでおこうかしr!?
もう一人顔を赤くしている人がいました。しかも第二王子でした。
「アルバート様。わざわざ騎士団まで御越しとは。」
「早く帰れという思いが伝わってくるのだが、まあいい。アルカディアさん、貴女は兄の婚約者なのだからもう少し行動に気をつけて下さい。」
う、怒られた。アルバート様は確か私と同い年のはずなのだけど、全く同年齢に見えない。前世でも鬼畜メガネツンデレお兄様系の無駄スペック男と言われていたし。
「す、すみません……。」
ドSなのに謝っちゃった。でも、謝った上後のギャップを見せればドS感が増す……はず!
「別にそんな謝らなくてもいいんだが。」
「そ、そうですわ。お兄様、一緒に馬に乗りましょう?私、どうやって馬を動かせばいいのか分からないので。」
これは、前世でも女子が良く使っていた仲間はずれというものです!そして、その後仲間に入れる事で相手を自分に忠実にさせるという高度テクニック!
「分かった。年上の方が頼りになると言う事だな。フンッ」
あ、結構恥ずかしい……。人が後ろにいるとちょっと変な気分になるな。
「ロラン殿、別に年上の方が頼りになるというわけではなく身近な相手だから意識しなくて済むと言う話ではないのだろうか。それに、ショックを受けた風を装いアルカディアさんの首筋に顔をうずめるのはやめていただきたい!!」
さっきから変な感じがすると思ったらそれか!
「お兄様、アルバート殿と変わっていただけません?アルバート殿も宜しいですよね。」
「こ、これは私の事を意識しているということでは?」
「えっ。そうだな、私が後ろに乗ってやろう。」
「アルカディア様、男を振り回すとは流石のドSっぷりです。」
意識せずに言った事の方がドSっぽかったなんて。でも、今のアルバート様の照れ顔はとても良かった。