4.反省と失敗
「ア、アルカディア様……。言い忘れておりましたが、天然にドSは通用いたしません。しかし、魔法を披露した時のカルロス様のキラキラした目といったら……。ドS女王(笑)」
う、早く言ってよ……。でも、あの目には私も引いた。
「確かに、私もあれは失敗だったと思うわ。」
優しいお姉さんになっちゃったけど、それはそれで私が攻めてるし、いいわよね。うん!ヤンデレ化を防げればいいんだもの。
「では、次のレッスンをいたしましょう。ドSの定番道具の一つ! 鞭を注文しに行くのです。」
「そういえば、ロレンスは珍しく乗り気よね。いつもは面倒そうな顔ばかりしているのに。」
「そうですか? あ、ちなみに私の行きつけの馬用鞭専門店に行きます。」
行きつけの馬用鞭専門店って……。従者が馬用鞭を使う時っていつよ。
「まぁつっこまないでおくわ。馬車に乗るわよ。あれ、ロレンス?額に青筋を浮かべてどうしたの?」
「私、従者から御者に転職したいと思っているのです。なかなかあんな盛大に鞭を振るえる機会は無いというのに。」
「貴方が御する馬車には絶対乗りたくないわね。」
どんな目にあうかたまったものではない。
「フッ。」
うわぁ。にやにやしてるよ。でも、何かロレンス、変わったな。まぁ私が一番変わったのでしょうけれど。
「アルカディア様、着きましたよ。」
馬車から降り、恐る恐る店の中を覗きこむと見知った人影があった。
「ねぇ、あれってお兄様よね………?」
「そのようですね。騎士団の用事なのでしょう。」
何でこう、狙ったようにぶっつけ本番なのかしら。
あぁ、もう、行くしかない!あ、でもお兄様の場合、立場的には私から挨拶するべきよね………。でも、ドSならば先に挨拶してはいけないとも言われたし………。
「ア、アルカディア? 何でこんな所に?」
ナイスタイミング!グッジョブです。でも、カルロスと同じ挨拶では芸が無い………うむ。
「あらお兄様、鞭を買いに来ただけですわよ。でも、なにせ初めての事ですから、試したいと思っていましたの。つきあって下さる?」
ふん!どうだ!
「そうだったのか。ならば、騎士団の馬に乗ればいいな。」
か、勘違いされた………。頑張って髪もふわってやったのに!しかも今から二人で馬に乗るっぽいし!
「ロレンス………」
「………プッ………」
まずは、ロレンスを叩いてやりましょうか。