1.アルカディアの迷案
本棚からゴトリと本が落ちたこの瞬間、まさに今、私は前世の記憶を思い出した。もう少しまともな時に思い出せば良かったのに……キスする時とかあるでしょうに。
前世の記憶によると、私は委員長キャラというものだったらしいが友人に勧められて乙女ゲームにはまってしまったらしい。そして、何が問題かと言うと、この世界は乙女ゲームである「アブノーマル・ラブ」の世界である事だ。
題名からして怪しいが、現実は題名より奇なり。ヒロインはヒロインへの愛ゆえにおかしくなった攻略対象者に殺され、唯一の殺されないエンドは友情エンドだけだ。
「アルカディア様、おはようございます。どうしました、そんな顔をして?」
「わ、私ってアルカディア? アルカディア・ルイスだっけ……?」
「アルカディア様……。ついにおかしくなったのですね。」
「ついにって失礼な……。」
私、ヒロインだぁぁぁ。もうやだぁぁぁ。
「い、いきなりクッションに顔をうずめてどうしたのですか?」
「ひっほくひほほほほひへふほふぇふ。」
「なるほど、精神病院へ行きますという事ですか。私もそう思っていました。」
「違う! いったん死んで前世に戻ろうとしてたの!」
これは少し、会議をする必要がありそうですね。
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読んでくださった方、ありがとうございます。初投稿なので、至らない所ばかりだと思いますが、よろしくお願いします。