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今日も今日とて自滅フラグへつながるお茶会への参加。

「ふふ、今日は甘いものが多いですわね。それにクレマチス様もいらっしゃるわ!」

赤い瞳を輝かせるイェルローズ。


その視線の先に――紫髪を陽光にきらめかせた遊び人系誘惑イケメン女子、クレマチス様。

(……登場するだけで絵になる。ビジュアル強すぎ。でもこの自滅フラグは絶対折る!)


原作では自分以外にも甘い言葉を吐くクレマチスに激怒したイェルローズが「女たらしの浮気者!」と叫んでぶどうジュースをぶっかけてしまう。

全身紫にそまったクレマチスは周囲から同情と失笑をうけ、プライドが傷つけられる。

女性みんなに甘く優しいクレマチスが、その後はイェルローズを危険物扱いして、ことあるごとに嘲笑するのだ。


うん、絶対回避しないと。

クレマチスはイェルローズの凋落の先導役みたいなものだから。


とにかく今日はお嬢様にぶどうジュースはもちろんぶっかけるような飲み物は渡さない。

私は決意する。


しかし、その努力はむなしく、事件は起きた。


「このジャスミンクリームサンド 、可愛いですわ!クレマチス様にわたくしの愛の証としてさしあげま――ッ」


バサァァッ。

お皿を運ぶなんて慣れないことをしたイェルローズ。

皿ごとひっくり返し、ジャスミンクリームサンド がクレマチス様の膝に落下。

「きゃあぁぁっ?!」

……見事にクリームまみれ。

背筋が凍りつく。


(まさかの飲み物じゃなくてお菓子ぶっかけっ?!)


「い、いまのは事故ですのっ!」

「……イェルローズ嬢」

名前を呼ぶクレマチス様の声は低く、それだけでイェルローズ様がびくっと震える。

「そ、その……!よ、汚れたところ、拭きますわ!」

懐からレースのハンカチを取り出すイェルローズ。

だが――その手をそっとつかみ、クレマチス様は微笑んだ。


あっ、紫の飲み物じゃなかったし、わざとじゃなかったからセーフ・・・?



「慌てるあなたも可愛いですね」

「ッッッッ!?!?!?」


(待ってくださいクレマチス様!?その一言は・・・っ!)



「私は着替えてまいります。可愛らしいイェルローズ嬢のドレスが無事でよかったです。」

すっと流し目でいたずらげに微笑み去っていくクレマチス様。



赤い瞳と同じくらい頬を真っ赤に染めた爆発寸前のイェルローズ。



「・・・クレマチス様が!『可愛い』って!わたくしが愛すべき存在ってことよねっ?!」

「お嬢様、それはリップサービスです」

「そ、そんな・・・でもっ!」

「推しからのリップサービスを色恋に結びつけるというのは自滅フラグ直行ですよ」

「で、でも可愛いって!わたくしだけにそういってくださったわ!」


(せっかく自滅フラグをどうにか回避できたのに、恋愛フラグになってしまう!!)


私はにっこり笑って口を開いた。


「お嬢様。“神対応”がうけられてよかったですね!」

「か、神対応……?」

「はい。推しは時に、全てのファンを幸せにするために神のような対応をしてくださるのです。それがいま神対応。」

「……っ!……そう……なのね……」


「・・・お嬢様、こちらのハーブティーをどうぞ。神対応の緊張を和らげます。」


そう、そのドキドキは恋ではなく、神対応からの緊張なのだ。

フィーバーフューとラベンダーの恋の解熱剤ブレンドで現実に戻ってきてください、お嬢様。


イェルローズは悔しそうにしながらも、カップに手をのばす。


「・・・っ!ちょっとこれ苦いのではなくて?!」


うん、恋するお嬢さまには苦いくらいのティーがちょうどいいんです。

現実に戻る効果は抜群だ。さすがクレオメブレンド。


――こうして自滅フラグは、ちょっと苦い味を残した“神対応理論”によって回避されたのであった。

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