帝国&サルカ&グローム77 2
グローム77は帝国領境界付近を航行中。船内にはいつものメンバーがいた。
配送品は高耐久建材。帝国が絡まなければ、ただの退屈な仕事――そのはずだった。
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帝国巡洋艦
艦橋では、グラム=ツァイト准将が無機質な視線をモニターに向けている。
その背後で、ビーノが楽しげに漂っていた。
ビーノ:「あらぁ、あの船……なかなか可愛いじゃない。最新スラスターまで積んでぇ」
グラム:「ビーノ。任務を忘れるな」
ビーノ:「任務はちゃんと覚えてるわぁ。“始原の砲”の情報を掴むこと、でしょぉ?でもねぇ……情報って、ちょっと遊んであげないと出てこないのよぉ♪」
グラム:「……遊ぶな」
ビーノ:「はいはい、真面目ねぇ」
ビーノはにやりと笑い、帝国艦の通信回線を開いた。
通信開始
ビーノ:「やっほぉ、グローム77の皆さぁん。ご機嫌いかがぁ?」
オルト:「……帝国の通信?」
Z:「ビーノか」
モル:「マジっすか!?帝国の諜報妖精っすよ!」
バーン:「ビーノだぁ!?あの妖艶な声、俺のスラスターに火ィつけやがるぜぇぇ!」
オルト:「ビーノ、何の用だ」
ビーノ:「ただのご挨拶よぉ。……それと、ちょぉっとだけ質問。あなたたち、最近“面白いモノ”見なかった?」
オルト:「面白いモノ?」
ビーノ:「そう、“始原の砲”とかぁ♪」
オルトとZが視線を交わす。空気が一瞬で張り詰めた。
モル:「始原の砲って、なにっすか?マジで武器っぽい名前なんすけど!」
Z:「……帝国がそんなものを探しているとはな」
オルト:「ビーノ。俺たちはただの配送屋だ」
ビーノ:「ふふっ、そうかしらぁ?でもねぇ、あなたたち、帝国の近くを通ること多いじゃなぁい?何か拾っちゃってない?」
オルト:「答える義務はない」
ビーノ:「ふぅん……じゃ、こうしましょう。――もし何か知ってたらぁ、私と“取引”しない?」
Z:「……取引だと?」
ビーノ:「えぇ。あなたたちが情報をくれたら、帝国はあなたたちの船を安全に通してあげるぅ。悪くない話でしょぉ?」
そこへ乱入するサルカ通信
ゴルゴラス:「オルトぉぉ!!聞いたぞ!帝国と通話中だとぉ!?筋肉に誓って許さんッ!!!」(ドガァンとポーズ)
ダーククラーケン:「我らが友情を裏切るのかァァァ!!!」(触手でトリプルバイセップス)
ブラッド:「落ち着けぇぇ!邪魔すんな!!!」
ビーノが笑いを堪えきれずに吹き出す。
ビーノ:「まぁまぁ、筋肉の人たちまでいるじゃなぁい♪賑やかねぇ!」
オルト:「……混乱が増えただけだ」
Z:「最悪だな」
モル:「あのイカ、触手でポージングしてるっすよ!?マジで映像見た方がいいっす!」
バーン:「オレもポーズ決めるぜぇぇぇ!!」
オルトは額に手を当て、深いため息をついた。
――この状況で配送を終えるのは、果たして可能なのか。
帝国艦との通信は続いていた。
ビーノの声は甘く、しかしその裏にある獰猛さはオルトの勘を鋭く刺激していた。
ビーノ:「どうぉ?“始原の砲”、ほんのちょっとヒントをくれればいいのよぉ♪」
オルト:(……このままだと任務どころじゃないな)
Zが低く呟く。
Z:「オルト、どうする。これ以上話すと危険だ」
オルト:「わかってる。……だが、逆に使える」
オルトは口角をわずかに上げ、マイクを切り替えた。
オルト:「ビーノ、情報なら……一つだけある」
ビーノ:「まぁ♪やっと話す気になったのねぇ」
モル:「オルトさん!?マジで言うんすか!?」
スラスター:「キタァァァ!!情報戦!!イケてる展開じゃねぇかぁ!!」
Z「スラスター黙ってろ!」
オルト:「……俺たちが最近通った宙域で、異常なエネルギー反応を検知した。通常の兵器じゃ説明できないレベルの……古代の何か、かもしれない」
ビーノ:「へぇぇ……もっと詳しく教えてぇ?」
オルト:「座標を送る。ただし、正確じゃない。スキャンの誤差もある」
オルトはタブレットを操作し、デタラメな座標を打ち込む。
場所は――惑星グロークⅢ。
そこは、巨大な電磁嵐が常時吹き荒れる危険地帯で、帝国艦が調査するには時間とリスクがかかる場所だった。
次回へ続く




