筋肉は必要?
「オルトォォォォォーーー!!」
配送船《グローム77》の通信機から、あの聞き慣れた声が響いた。
タコ中佐だ。今日もテンションが高すぎる。
「お前に特訓のチャンスをやろう!! “配送中の戦闘力向上プログラム”だ!」
「いや、俺、特訓なんかしたくねぇよ!!」
「異議なしィィィ!! 出発まで5分だ!!」
気づけばオルトたちは、配送船ごと惑星ジムナーへ強制ワープさせられていた。
惑星ジムナーは、重力が地球の10倍、地表の99%が筋肉型植物で覆われている。
・樹木の代わりにダンベルの形をした茎
・風が吹くと「フゥンッ!」と筋肉が鳴る音
・池の水面にはプロテインが浮かんでいた
オルトは全身を震わせて言った。
「うわぁ……絶対おかしいだろこの星!!」
フィル(ぬいぐるみ)は冷静。
「ここは銀河屈指の筋肉特化惑星です。配送員訓練には最適」
そこに現れたのは、ヘルメットを外したタコ中佐。
普段はふにゃっとしているが、ヘルメットを取ると上半身が超ムキムキのタコだった。
タコ中佐「よーし! 今日からお前らには“ラーメン配送筋肉術”を叩き込む!!」
「何それラーメンと筋肉関係無くね!? 聞いたことねぇ!!」
中佐が指さす先に置かれていたのは、湯気を立てる巨大なラーメン丼。
「このラーメンを持ったまま、10,000回スクワットだ!! 途中でスープをこぼしたら爆発する!!」
オルト「ちょっと待て! 何でラーメンで爆発するんだよ!?」
Z(液体金属)はすでにスクワットを始めていた。
「意外と楽しい」
「液体金属なのに鍛えられるのかよ?しかも何が楽しいんだお前ェェ!!」
プロテイン池に浮かぶ船を目指して全力疾走。
しかし、地表には「ダンベル草」が生えており、うっかり踏むと重さ1トン。
タコ中佐「筋肉が全てを救う!! 配送員も筋肉!!」
「いや、オレ筋肉で配達したことねぇからな!!」
訓練中、突然地響きが。
巨大な筋肉植物が暴走し始めた。
「フゥンッ!!フゥンッ!!」
(筋肉が収縮するたびに爆風が発生)
フィル:「筋肉植物の自己増殖です。銀河条例違反のため、爆破許可が出ています」
「そんなすぐに爆破許可簡単に出すなァァァ
ァ!!!」
暴走する筋肉植物に向かって、タコ中佐が雄叫びをあげる。
「フゥゥゥゥン!!!!」
その瞬間、中佐の筋肉が光りだし、8本のタコ足が完全武装モードに変形。
・右足1:プラズマキャノン
・右足2:ラーメン鍋
・左足1:プロテイン砲
・左足2:筋トレベンチ
タコ中佐「これが“配送筋肉奥義・フルパワー”だ!!」
全ての筋肉植物は瞬く間に吹き飛び、惑星ジムナーに平穏が戻った。
「中佐すげぇ〜」
「配送員に必要なのは筋肉だと分かったか?」
「いやなんでだよ!分かんねぇよ!!!」
「よーし!! 次は“歌って筋肉配送”を教えてやる!!」
「やめてえええええ!!」