勅令
帝国軍旗艦・謁見ホール
冷たい金属の床に、重く荘厳な鐘の音が響いた。
巨大なホールの最奥、漆黒のヴェールに包まれた玉座に座すのは、帝国皇帝。
その声は電磁的な増幅を伴い、空気よりも心臓に響く。
皇帝
「……帝国の威信をかけた古の力、“始原の砲”。
それを手にする者こそ、この銀河の覇者となるだろう。
グラム=ツァイト准将――その探索を、お前に命ずる。」
玉座前に跪くのは、冷徹なサイボーグ将官。
その義眼はわずかに赤く点滅し、全ての言葉を記録している。
グラム=ツァイト准将
「御意。
作戦計画を直ちに立案し、宙域全域に探索網を展開いたします。
一片の情報も見逃すことなく、必ずや”始原の砲”を帝国の御手に。」
皇帝
「遅滞は許さぬ。……失敗は、死を意味する。」
その言葉に、ホール全体の温度が下がったように感じられた。
だが、グラム=ツァイトの表情は変わらない。
グラム=ツァイト准将
「完璧に遂行いたします、陛下。
“始原の砲”――必ず見つけ出し、帝国の勝利を確定させましょう。」
機械のように整った動作で一礼し、退廷する准将。
その背中に、皇帝の言葉が低く追いかける。
皇帝
「よいか……銀河連邦も、サルカも、この情報を嗅ぎつけておる。
先んじなければ、帝国は終わる。」
ホールの扉が閉じる瞬間、グラム=ツァイトの義眼に赤い光が走った。
冷酷なサイボーグ将官の頭脳には、すでに幾つもの探索プランが展開されていた。




