くしゃみ兵器と、鼻水の惑星
宇宙歴9Z5年。
配送員オルト・ヴィスカは、またしても断れなかった配送ミッションに出されていた。
今回の目的地は、惑星フラグラノール。
湿度98%、空気の9割が花粉と鼻水で構成されているという、
銀河でも最悪レベルの「アレルギー惑星」である。
配送物は、「くしゃみが連鎖爆発する生物兵器」。
見た目はモフモフのウサギだが、くしゃみの風圧で戦闘機を撃墜する。
オルトはそれを見て、開口一番こう言った。
「……ねぇ、また爆発するモノなんだけど、なんで毎回オレなん?」
「配送評価★が“タフそう”ってタグでバズってましたから」とAIフィル。
「頼むから評価を見直してくれ!! “メンタルギリギリ”とかにしてくれ!!」
到着早々、船の外は見渡す限り鼻水色の沼地。
生えている木はすべてティッシュに似た形状をしており、風が吹くと「ズズッ」と音がする。
フィル(ぬいぐるみ)はガスマスクを装着しながら冷静に言った。
「この星、湿度100%超えてます。理論上、水中呼吸扱いです」
「オレ、配送員であってカエルじゃねぇからな!? なんで水中扱いでウサギ爆弾抱えてんだよ!」
運搬中、くしゃみ生物「チューク」が突然くしゃみをした。
「ふぇっ……ふぇ……へーっくしょおぉぉん!!」
その風圧で、オルトは10メートル吹き飛び、配送端末ごと沼に沈んだ。
Z(液体金属)が近づいてきて、淡々と。
「沼に落ちたね。おめでとう」
「なんのお祝いだよォォ!!!」
そこに現れたのが、鼻水から進化したような種族「アレル人」だった。
頭部は常に湿っており、くしゃみが意思疎通。
1人のアレル人が近づき、
「ブエックショーーーーイ(ようこそ異星の者!)」
と、勢いよくオルトにツバ(という名の生体ゲル)を吹きかけてきた。
「もう帰りたい……」