歌姫まだいたの?
ミュラノンは、配送が終わったはずなのにオルトの船《グローム77》にちゃっかり乗り込んでいた。
ミュラノン「えへへ〜、次の配送先までちょっと遊びに来たよ〜!」
「はぁぁぁぁぁ!? 降りろォォ!! 配送船は遊覧船じゃねぇぇぇ!!」
ミュラノン「いいじゃんいいじゃん〜。配送員ごっこ、やってみたいなぁ♡」
Z(液体金属)は無表情で一言。
「…厄介な荷物が増えたな」
次の目的地は、惑星全体が迷路で構成された「ラビリントス」。
上空から見ても、地表が巨大な迷宮模様で埋め尽くされている。
フィル(ぬいぐるみAI)が淡々と説明する。
「注意:惑星ラビリントスは“入ったら出られない”ことで有名です」
「いやいや駄目な所じゃん!配送員が行く場所じゃねぇだろォォォ!!!」
着陸後、コンテナを運び出そうとした瞬間、地面が開いてオルトたちは迷路の中心部に落下。
ミュラノン「わぁぁ〜〜〜〜!! ジェットコースターみたい!!」
「楽しんでんじゃねぇぇぇ!!!」
フィル「ヴィスカ氏、現在地は不明です。脱出確率、0.0001%」
「はい来た〜脱出不可避〜!」
彷徨っているとミュラノンが退屈そうに鼻歌を歌いだした。
「ら〜ら〜〜銀河の果て〜〜迷路ぉぉ〜〜〜〜♪」
すると迷路の壁が共鳴し、勝手に動き出す。
Z「…彼女の歌、迷路の地殻まで響いたな」
「余計なことすんなァァァァ!!!」
「ようこそ迷路の中心へ。俺は番人“グルグル”だ」
見た目は目玉がグルグル回るサイコロ型ロボ。
全身からレーザーを乱射し、ミュラノンに向かって言う。
グルグル「歌姫ミュラノン。貴様の黒歴史ライブ映像を再生する」
ミュラノン「やめてぇぇぇ!! それだけは!!」
スクリーンには、10年前の初ライブ映像。
・振り付けグダグダ
・音程ボロボロ
・観客ゼロ
オルト「なにこれめちゃくちゃ面白い!」
追い詰められたミュラノンは決意する。
ミュラノン「こうなったら歌で迷路を味方につける!」
「えぇぇぇ!? もう黙っててくれよォォォ!!!」
しかし彼女が全力で歌い出すと、迷路の壁が変形し、グルグルのボディを挟み潰す。
壁の暴走により、迷路は粉々に崩壊。
映像は途絶えた
惑星ラビリントスは平地になり、配送先まで一瞬で到着。
ミュラノンはドヤ顔でピースサイン。
ミュラノン「はいっ! お届け完了〜♪」
オルトは頭を抱えて叫んだ。
「お前のせいで惑星ひとつ平地になっただろォォォォ!!!」
タコ中佐から通信が入る。
タコ中佐「ヴィスカ! よくやった!! 今日からお前らは“配送迷路無双隊”だ!!」
「中佐ぇ〜また変な称号付けるなァァァァ!!!」




