タコ中佐とオルト
オルトは作戦室に足を踏み入れた瞬間、思わず目を見張った。
壁一面に設置された耐水型ダンベルラック、水中用トレッドミル、天井から吊るされた懸垂バー――そして中央の巨大円形水槽の中で、赤銅色のタコが8本の腕で同時に筋トレをしていた。
タコ中佐:「ぬおおぉぉぉ!タコプランク150秒突破ッッ!!……ふぅ、今日も良い筋肉だ!」
オルトは敬礼するも、視線は水槽のタコの異様なバルクに釘付けだ。
オルト「……中佐、相変わらず筋トレが本業に見えます」
タコ中佐(触腕でダンベルを同時に持ち上げながら):「筋肉は裏切らん!情報も裏切らん!だが筋肉のない情報将校など、ただのタコだ!」
オルトは一瞬、言葉を飲み込む。
オルト「いや、中佐こそタコそのものですが……」
タコ中佐は触腕でモニターをパシンと叩き、極秘データを映し出す。そこには、“始原の砲”に関する座標と断片情報が浮かび上がっていた。
タコ中佐:「今回お前に任せる任務は二層構造だ。
一、表向きは通常配送。だが裏では、この座標周辺で“始原の砲”に関する痕跡を探る。
この情報は連邦上層でも極秘。俺とお前、そして……あの変態メタル野郎(Z)のみ知る」
オルトは眉をひそめる。
オルト「……モルには内緒ですか?」
タコ中佐(腕を組みつつ、水槽の水をバシャッと跳ね上げる):「絶対に秘密だ!あいつの口は筋トレ中より緩いからな!もし情報が漏れたら、俺の筋肉が怒るぞ!いや、俺が怒るのではなく……筋肉が怒るんだ!」
オルトは深いため息。
オルト「筋肉が怒る……って、どういうことですか」
タコ中佐は触腕でダンベルを高く持ち上げながら、楽しげに説明する。
タコ中佐「説明しよう。筋肉は任務の安全保障だ!敵に囲まれても、筋肉が突破口を作る!腕力、脚力、吸盤力、全てが連邦を守る――そしてオルト、心の筋肉も忘れるな!」
オルトは肩をすくめる。
オルト「……心の筋肉ってなんすか、中佐そもそも吸盤無いです」
タコ中佐:「それは説明できん!実践あるのみ!」
そして触腕の一つでテーブルをドンと叩き、極秘データをオルトのタブレットに転送する。
タコ中佐「この座標、周辺情報、暗号通信ルート……すべて任せる。もし敵に見つかったら……筋肉で突破だ!」
オルトは小さくうなずき、任務データを受け取る。
オルト「了解しました……筋肉に任せるんですね」
タコ中佐(水槽の上にジャンプしてポーズを決めながら):「タンパク質は忘れるなよ!筋肉は任務を救う!」
オルトは呆れた目で見上げる。
オルト「……やっぱり筋肉が主役ですか」
タコ中佐は腕を広げて水しぶきを飛ばしながら、締めの一言。
タコ中佐「筋肉が命、情報は副産物だ!」
オルトはダルそうに敬礼し部屋から出る
オルト「相変わらずだな中佐は」




