Zとタコ中佐(ダルトン・ビール)
100回記念のシリアス回です
デロス・ステーションでの密会
暗いカンティーナ。多種多様な異星種族のざわめきに紛れ、ひときわ異質な影が座る。
八本の触手を持つ男――ダルトン・ビール中佐。その視線が扉の向こうを射抜く。
そこに現れたのは、黒いコートを羽織った流体金属の男Z。
彼は無言で腰を下ろし、対面のタコと視線を交わす。
ダルトン中佐:「……随分と遅かったな、Z。配送業にでも手こずったか?」
Z(肩を竦めて):「ごっこじゃない、俺は本職の配送員だ。たまたま“戦争の未来”も運んでるだけだがな。」
触手がテーブルを軽く叩く音。
その瞬間、周囲のノイズがフェードアウトし、二人の間だけに静寂フィールドが展開された。
ダルトン中佐(低い声で):「始原の砲――帝国が探し続ける神話の兵器だ。
我々も動かざるを得ない。……でなければ、次の戦争は連邦の終わりになる。」
テーブルに青白いホログラムが浮かぶ。
座標データの断片、そのほとんどが暗号化された赤いコードで覆われていた。
ダルトン中佐:「これを帝国の暗号ストレージから抜き取れ。
君の……特異な体質なら、可能だろう?」
Z(口元に笑み):「光栄だな。配送先は“帝国の心臓部”か。」
ダルトン中佐:「冗談を言っている場合か? 君が消されても、私は何も知らない。」
Z:「いいな、その距離感。……信頼より、裏切りの方が燃えるだろ?」
触手がピクリと動き、中佐の瞳が細まる。
一瞬の沈黙。
そして――タコの冷たい笑み。
潜入開始
デロス・ステーションの裏回線へアクセス。
Zの体が流体金属に溶け、データスパイクの形状に変形する。
無数の銀の糸が宙を走り、帝国の暗号網へ侵入。
サイバースペース――帝国の情報空間に出現したのは、
無機質な都市のような光の構造体。
その中央に立つのは、帝国製AI 《ヴァルキュリア・システム》。
AI:「無許可アクセス検知。識別――未知の侵入体。」
Z:「ただの配送員だよ。ちょっと荷物を取りにきただけだ。」
データの刃が飛ぶ。
光の剣戟、暗号壁の連鎖破壊。
Zの金属ボディが分裂し、ナノの雨となって防御壁を侵食していく。
AI:「――貴様、有機体ではない……!」
Z:「残念だったな。俺は“流れる金属”。形を持たない存在だ。」
コードの奔流を突き抜け、Zは最深部のデータコアを奪取。
同時に、帝国のシステム全体に侵入検知アラートが響き渡った。
ダルトン中佐(通信):「Z、ステーションが封鎖される。今すぐ回線を切れ!」
Z:「あと10秒……よし、パケット確保!」
Zは現実空間に戻り、身体を再構築。
だが――背後で警報が鳴り響き、帝国の特務兵がカンティーナを制圧し始める。
ダルトン中佐(触手で銃を構え):「こっちだ、Z!」
二人は非常通路を駆け、タコの触手が器用にドアロックを破壊。
Zはスライムのように換気ダクトに流れ込み、最小サイズで潜り抜ける。
最後に残した言葉は――
Z:「任務完了だ、中佐。あとはあんたの手札次第だな。」
帝国側の逆鱗
帝国旗艦《グラン=ヴァルザ》、作戦司令室。
そこに立つのは、冷酷なサイボーグ――グラム=ツァイト准将。
ホログラムに映る暗号ログを見つめ、低く呟く。
グラム准将:「……侵入。データの一部を奪われた? 誰だ、連邦の亡霊か?」
背後の将校が震える声で報告する。
帝国士官:「痕跡は――識別不明の流体金属体と推定されます!」
グラム准将(拳を握りしめ):「ならば潰す。全銀河に“告げろ”。
この戦いは――情報の奪い合いだ。」
場面転換――のんきな《グローム77》。
オルトがコーヒーを飲みながら、モルと雑談。
モル:「いやー、今日の配送も楽っすね~。ってか、Z先輩どこ行ってたんすか?」
Z(無表情で):「ちょっと、荷物を取りに。」
オルト:「お前……絶対なんか怪しい仕事してただろ。」
Z(笑わずに):「さあ、どうかな。」
――その胸ポケットには、帝国から奪った光るデータキーが静かに輝いていた。




