風船だらけ
オルトたちデスドライバー隊に新しい依頼が届いた。
配送先は惑星バルーノス。大気が軽く、すべてのものが空に浮かぶ浮遊惑星だ。
今回の荷物は——
「無重力風船・500億個」
ひとつでも割れると、惑星の大気圧が崩壊するという超デリケート品。
配送船《グローム77》の積み荷ルーム。
オルトは風船の山に押しつぶされそうになっていた。
「なんで配送品が全部浮いてんだよォォォ!!」
フィル(ぬいぐるみAI)は冷静に言う。
「この風船、1つでも破裂すると周囲10kmが真空になります。気を付けてください」
「じゃあなんでまたオレに持たせるんだよォォ!!」
到着したバルーノスは、地面が存在しない。
空中に浮かぶ島々を風が結ぶ、まさに「空の迷路」だ。
オルト:「ちょっと待て。配送先、どこ?」
フィル:「あちらです」
フィルが指した先には……
風船とそっくりの敵兵器が島全体を覆い尽くす光景。
オルト:「オイ!! どれが配送先の風船でどれが敵だよ!!」
突如、敵兵器が動き出す。
「プシューーー!!!」
巨大な赤風船が膨張し、内部から兵士型ドローンが無限に吐き出された。
オルト:「なんで風船から敵出てくるんだよォォ!!」
Z(液体金属)は敵に取り囲まれながら淡々と。
「オルト、たぶんあれ“空気兵団”だ」
「ネーミング雑すぎるだろォォ!!」
敵ドローンが襲いかかる。
オルトは風船の束を抱え、必死に回避。
フィル:「作戦案:この惑星の上昇気流に乗って配送先に向かいます」
「簡単に言うけど、オレ風船ごと飛んだら人間風船だぞ!?!」
Z:「…お前、丸くなったな」
「太ったみたいに言うなぁぁぁ!!」
風船の1つが手から離れ、空へふわふわと浮かんでいく。
「やべぇ!! 割れたら全員アウトだ!!」
オルトは風船を追って、浮遊島から島へと飛び移る。
「ジャンプ力が足りねぇぇぇ!!」
フィル:「ヴィスカ氏、重力低減モード起動」
フィルがぬいぐるみの体をエンジン化し、オルトを無理やり飛ばす。
空の彼方から低い声が響く。
「風船は我らのものだ……貴様らに渡さん」
現れたのは、サルカ連邦の風船特化司令“バルブ・ゼフィール”。
全身が風船で覆われ、息を吸うたびに巨大化する。
オルト:「凄いの来た〜!敵の司令、空気入れすぎだろ!!」
バルブ「ふぅぅぅぅぅぅぅっ!!!!」
バルブが吐いた風で、惑星全体の気流が荒れ狂う。
オルト:「やばい! このままじゃ全部の風船がぶつかる!!」
フィル:「作戦案:司令の息を利用して一気に配送先まで運ばれましょう」
「そんな漫画みたいな作戦で……」
Z:「…もうノリでやるしかないだろ」
「それしかないのか!!!」
オルトは風船の束を抱え、バルブ司令の息の方向にジャンプ。
「いけえええええええええ!!!」
敵司令の大呼吸で、オルトたちは秒速500mの風に乗り、配送先に叩き込まれた。
結果——
・配送品 → 無事お届け
・敵司令 → 吸いすぎて破裂
・惑星バルーノス → 全体が無風状態に安定
タコ中佐「配送完了ォォォ!! さすがオレの部下だ!!」
オルト:「中佐ぇ〜オレもう風船恐怖症になったからな!!」




