キャラクター1 アルル
始まり
気が付くと白かった、黒い気もする。
眠りから覚めた様な感覚だが、なんだか周りが解らない。
なんだ?、目が開かない?、顔を触るつもりが手の感覚がない?、音が聞こえない、体の感覚が無い、上か下かも解らない。
おいおい。まだ、寝てるのか?。とりあえず、また寝るかと思っても眠く無い。
時間は何時だ?、どれくらい寝てたのかも解らない。
あぁ〜これは何だろう?、深呼吸して(呼吸もできいるのか?)寝る前の事を思い出そうと思っても何も思い浮かばない、記憶が無い。
まじか〜、なんかヤバい気もするが、朝目覚めれば、この変な夢も覚めるだろうと思っていたが……。
それから、どれくらい時間が過ぎただろう。
何も出来ずもどかしく、発狂したり混乱したり。そして心を落ち着かせ、自分自身に思いを巡らし。数を数え、足したり掛けたり…。
・
・
そして、何も考えなくなった。
・
・
・
どれくらい時間が過ぎたか分からない、一年か十年か、それとも一分か?。
ふと気付くと自分が糸屑の用に思えて来た。そして、散らはった糸屑が少しずつ、少しずつ集まり糸に成り、糸が集まり織物に成っていく。
あぁ、バラバラに成っていたモノが長い時間の中で1つに集まり自分に成っていく気がする。
ああ。今、自分に魂が宿った。
ふふふ、では少し前の自分は何だったのか?。まあ、そんな事は今はどうでも良い。
今は胸が痛い…。
胸が痛い?!。
「いぃでぇ~」。思わず手で胸を押さえると胸に何か刺さってる?。お?目が見える!。じゃなくて!、なんで裸?、そして死にそう!!。
口から血が溢れ出し苦しい、訳が分からず両手で胸に刺さった物を引き抜いた。
痛いのだが、「おお、ナイフだ」と口から血と言葉がもれる。
血だらけの手とナイフ、そして、血だらけの体が女の子だ。
膨らんだ胸にある傷口から血が吹き出していたが、段々少なくなり瞬く間に傷口もふさがって行く。
「全く、なんなんだ?」。可愛い声だなと思いながら体を起こす、石の台座?ベッド?の様な所で寝てた様だ、周りに何本かロウソクが立ち、右側の台座の下で黒い服を着た男が驚いた様子で腰を抜かして居る。
「やあ、おはよう。コレは何?」まずは状況確認だ。男に気を向けながら立ち上がり回りを見渡す。
洞窟なのか、岩を削り出したままの岩肌。天井はドーム型に成っているのか?。そして、床には数十人の裸の死体が転がって居る。「ぅわぁ~、スプラッター」しかし、あまり恐怖心が湧かない。
体を確認するように両手を伸ばし背伸びをする。左手にはまだナイフを持ったままだ。
右手で頭を触り髪の毛を指で解かす。肩の下くらいまで有るのかな?綺麗な金髪がサラサラと指の間から落ちて行く?。
おや?、血だらけだった手が綺麗に成ってる?、何となく手の匂いを嗅いでみる。手の匂いはしないが、周りの異臭が酷い。
口の周りも血だらけのはずなのに何ともない。唇、顎、首と触り、鎖骨から胸えと手を滑らせる。あれだけ血が出てたのに何ともない、風呂上がりのようだ、傷口も無い。
「ん〜ファンタジー」何だか笑えて来る。
「おい、コレはどうゆう事かな?」笑顔で男の方を見て聞いて見ると、男は立ち上がり手を組みながら「我が召喚に答えしモノよ、名を名乗るが良い」とか言ってる。
えぇ〜。ちょっと、コッチは訳分からんのだけどなぁ〜?と思いながら「名前か〜、ちょっと思い出せないな〜。ソレより、しょうかん?。召喚?、呼び出したって事?、君が?。と言う事は私は呼び出された??」。
顎に手をやり考えてると、「まあ良い、その娘はアルルと言う。アルルと名乗るが良い」。
うん、アルル。 何かしっくり来る、「私はアルル」。そう呟くと足元から光が溢れ出し体を包み、……何事も無く消えた。
あ〜、コレは名乗ったら駄目だったのかな?。しかし、何とも無い気もする。
「おーい、どう成ってるの。少し説明してく」喋り終わる前に炎が飛んできた!。失敗たのでいきなり消すつもりなのか?。
しかし、暑いけど、大したこと無い。「ん〜、ファンタジ〜」。炎の中で腕を伸ばし、撫でたり髪を触っても何て事は無い。炎を吸い込んでる筈なのに肺も大丈夫なようだ。
燃え上がる台座の上から片足づつ降り男に近づく。男は何か唱えながら後退りしている、
「ちょっと待った!。とりあえず、話そう。な、話せば解る。ちょっと落ち着け!、悪い様にはしない。ほら、手を下ろしなよ」安心させるつもりで笑顔を作ってるつもりだが此方も焦って引きつった笑顔に成っているかな?。
男は脂汗を掻きながら手を解いた、まだ警戒をしてるようだが話は出来そうだ。
「よし、先ずはどういう状況なのか1から言ってくれ。」
男は魔術師で悪魔を呼び出すつもりだった。
古い魔術書を読み漁り何年も掛けて準備をし、供物を揃え何度も失敗を繰り返し、そして、アルルを刺して私を呼び出したと…。
アルルは13歳で、良家の娘を誘拐したそうだ。そこら辺の死体も12から13・14歳を誘拐したそうな。普通に犯罪者だな。
結局、出てきたのが私で、奴隷?使い魔?にする魔法が効かなかった。原因は解らない、多分私の魂が特殊なのだそうだ。
笑えるヤツだ、悪魔を捕まえるのに、トラブルが起きないと思って居るのか?、まぁ私も詳しくしらないが、準備が足りなかったから私みたいなのが出てくるのだ。
まぁ良い。「つまり私は悪魔で、お前に呼ばれて顕現出来た訳だ。何か礼をしないと行けないな」。
笑顔で男に近づき、ゆっくりと右手で男の頬を触りながら、左手のナイフで胸を刺した。
うめき声を出す前に口を塞ぎ地面に押し倒す。「お前みたいなヤツは世の中の為に成らんだろう。私が送り出してやる。感謝してよいぞ」。
聞いたか、聞こえなかったか。数秒で動かなくなった。
「あ、コイツの名前聞き忘れてた…。まあ、良いか」。
先ほどの炎で何本かロウソクが消し飛んだのだろう、すこし暗くなったが夜目が効くようだ、周りが良く見える。そして、自分の手と体を見ると男の返り血でドロドロだ。「裸で血だらけ…、 エロいな」。
仰向けの死体に跨り右手の吐血を振って飛ばすつもりが、徐々に消えていく。何となくだが吸収してるのか?。「ん〜、ファンタジー(笑)」コレは自分が悪魔だからか?。ちょっと落ち着いたら何が出来るか試さないとな。
先ずは着るものだ!。寒くは無いが真っ裸のままでは良くないだろう。
台座の向こう側には裸の死体が転がって居る。可哀想だが、自分には同仕様も無い。「仇は取ってやったからな、安心してくれ」。膝まづき手前の女の子の頭を撫でる。何だか濁った腐臭が軽く成った気がした。
パッと見た感じ20人弱か?。「これだけ居れば何処かにひん剥いた服くらい有るだろう」。
奥に扉が1つ、他に出入り口は無さそうだ。男の仲間が居たりすると困るが、こんな糞野郎に仲間が居るとは思えない。
冷静に考えると酷い情況だが、何故か不安がない。軽い足取りで扉に向かい、取っ手を掴む。
今から何かが始まる。いや、もう始まったんだ。
新しい本を買って貰った様な気持ちが体の隅々まで巡ってるゆようだ。
と、言っても。本を買って貰ったなんて記憶がないのに、何て表現してるんだか?。
自分自身に笑ってしまう。まぁ、気分は絶好調だ。何が来ても一発で倒せそうだ。
「さあ、何が出てくる事やら」。
扉を開けてアルルは力強く踏み出して行った。