目覚め2
起きて、食べて、寝るこれを繰り返してどのくらいだっただろう1週間ほどだろうか。
久しぶりに何か考えた気がする。
これは比喩表現などでは無い、本当にそうなのだ。
そしてその日もこれを境に何も考えることはなかった。
夢を見た。初めて見る夢だ
真っ白の空間に1人で立っている。
周りにはないもない...が人影らしきものが50m程先に見える。
しかし、近寄ろうと走ってもその距離が縮まることはなかったし、相手からよってくることもなかった。
だが、声は聞こえる、すごく小さい声だ
「これからよろしくお願いします。」
これだけだった。
(ザーーーーー)
雨だ、濡れている、身体が重い、腕が重い、
「大丈夫よ」
母親の声だ、だが弱々しい
振り返る
そこには、雨で濡れた泥だらけの地面にはいつくばるように血だらけの母親がいた。
状況が理解できない、意味が分からない
「強く、優しい、そんな人になりなさい」
これが母親から聞いた最後の言葉だった。
気がつけば顔が濡れている、泣いているのだ。
「母さん、母さん、かぁ...」
今回は感情の1人歩きなどではない、心と身体が全力で泣いている。
どれくらい泣いただろう。
既に雨と涙は止んでいる。
自らの足で立っていた
ここで初めて気づく。
(なぜ立っている、俺は赤ん坊ではなかったのか?
それに、喋れている、身長も伸び、7歳くらいにまでは成長している。何が起きた)
赤ん坊として過ごした1週間ほどの記憶からあまりにも時が進みすぎている。
訳が分からない
(それにこの世界はなんだ俺が元々いた世界ではないのか?
うっ...頭が痛い)
空を見上げる
空を見上げると本当にそれは空なのかと目を疑った
見上げる先に明らかに陸がある。
その陸は、緑などなく、とても禍々しく、無限に、自分が立っている世界と平行にどこまでも続いているように見えた。
その陸の間には、自分が確かなら、太陽もあり、雲もある、ただ雲の間から覗く青空の代わりに、禍々しい陸が見えているだけだった。
いや、そこには鳥でも人でもない、とても禍々しく、恐ろしさのあまり目を背けてしまいそうになる何かが空の陸へと飛んで行くのが見えた。
そして俺は直感的にだが確信した、この世界は俺が元々いた世界ではない
そして、母さんをやったのは空の陸へ向けて飛んで行った何かだと
自然と手に力が入りそこで初めて自分が何か棒状の物を握っていることに気づいた
(剣?)
初めて見た。
こんな状況ではあるがその剣を見てかなり見入ってしまった。
「綺麗だ」
自分の声にはっとしてわれにかえった。
そして視界の奥に息をしていない母親の亡骸が見える
悲しくて泣きそうにかるが泣かない、ここで泣いてしまうと、自分の中の何かが壊れ、母親の最後の願いをむげにしてしまいそうな気がした。
そして、記憶がなくても身体、本能でわかる自分の家に帰る
その腰には剣
背中にこの年で運ぶにはかなり大きい母親の亡骸を背負って